現金がたくさんある人はすぐに節税を!
「現金で2億円持っている」「宝くじで3億当てた」
なんて話を聞くと、大抵の人はなんてうらやましいんだろう、と思いますよね。確かに、現金をたくさんもっていることはとても素晴らしいことです。お金で買えるものは多いですし、病気になっても十分な治療が受けられます。
ただ、相続税を考えるにあたって、一番やっかいなのがこの現金なのです。
いわゆる大金持ちの人でなくとも、コツコツと堅実に貯金をしてきた、退職金はまるまる取ってある、なにかあったときのために預貯金はかなり蓄えているという人は多いです。
相続税の計算上、現金は金額そのままの評価額になってしまうので、相続税がたくさんかかってしまいます。
現金をたくさん持ったまま亡くなってしまうというのは、相続税を考えるとかなりリスクのある行為です。
今回は、「現金で2億円の預貯金を持っている鈴木さん」というケースで、使える節税対策を考えてみましょう。
現金2億円の相続税
- 鈴木さんが持っている資産は現金2億円
- 家は賃貸なので相続物にあたらない
- 相続人は鈴木さんの奥さん、35歳の長男、34歳の長女、30歳の次女の合計4人
- 法定相続分通りに相続する(奥さんが1/2、子供たちは1/6)
という条件で考えてみましょう。
相続税の計算は別ページで詳しく説明しているのでそちらを見てもらうとして、なにも対策せずに鈴木さんが亡くなった場合、
遺産の総額-基礎控除=2億円-3000万円+(600万円×4人)=1億4600万円
に対する相続税がかかるわけですね。つまり、この課税遺産総額1億4600万円をいかに小さくするかが相続税対策の肝ということです。
なお、この条件で計算をすると、なんの節税もしなかった場合およそ2400万円ほど相続税を納めなければなりません。決して小さい金額ではありませんよね。
暦年贈与を活用する
贈与税には基礎控除があり、1人あたり年間で110万円までの贈与なら非課税で現金を贈与できるようになっています。
鈴木さんが暦年贈与を使って、相続人4人に1100万円ずつ生前贈与した場合、
1億4600万円-4400万円=1億200万円
と、かなり課税される遺産総額を減らすことができるのです。
このときの相続税額は4人合わせて1400万円ほどになるので、鈴木さんの相続人たちはノーリスクで1100万円の現金を手に入れ、なおかつ相続税が1000万円安くなります。
一度に大量の現金を贈与できる制度
生前贈与では、110万円以上の贈与に対して高額な贈与税がかかります。
一度に大きな金額で贈与したいときに使えるのが、以下に紹介する節税対策です。
教育資金の一括贈与
子供や孫に対する教育資金は、最大で1500万円まで一括で贈与することが可能です。
ただし、現金を直接渡すわけではなく、教育のためにしか使えないお金になってしまいます。
使用するときは親戚を含めた家族間で良く話し合っておいたほうが良い制度です。
贈与税の配偶者控除の特例
いくつかの条件を満たしている夫婦の間では、最大2000万円までの贈与が贈与税なしで行えるようになっています。
ただ、居住用の不動産そのものの贈与や、住宅を用立てるための現金などに限られるので、使い道はやや限定されているといえます。
相続時精算課税制度
生前贈与の形の一つで、最大2500万円までなら贈与税なしで贈与できるという制度です。
ただし注意点があって、相続時精算課税制度を利用した場合、鈴木さんは暦年贈与を利用できなくなります。
また、この制度によって受け取った金額は、課税される相続財産としてカウントされるので、相続税の節税にはならない場合もありえます。
生命保険等の非課税枠
法定相続人1人あたり500万円までなら、生命保険や退職金を非課税にして良いという制度があります。
金額を調整して現金を支払いにあて、生命保険に入っておくことで、現金を減らしながら相続税を節税することができるのです。
賃貸マンションやタワマンを購入して節税しよう!
ここまでは贈与を中心に紹介してきましたが、年間110万円程度の贈与では2億円の現金を持つ鈴木さんの場合、大きな節税が望めない場合もあります。
多額のお金をドカンと使って節税したいときに効果的なのが、「賃貸マンションやタワーマンションの購入」です。
不動産は固定資産税評価額で計算するので購入額より安い金額として評価されますし、賃貸マンションやタワーマンションはさらに評価額が下げられる制度などを持っているので、大量の現金を使って大幅に評価額を落とし、節税ができるのです。
現金は活用してこそ活きるもの!
現金を現金のまま持っておき、そのまま相続させるのも一つの手ですが、相続税という負担がある以上、なんらかの形で節税を意識しておくのが遺産を残す者の役割です。
現金2億円を持つ鈴木さんの場合でも、各種の贈与や不動産の購入などを使えば、本来2000万円以上かかる相続税をほぼゼロにすることもできるのです。
現金を活用して、負担のない相続を目指しましょう。
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