申告漏れに注意! 相続税申告の手続きと流れ

相続税の申告はあなたの仕事

「相続するものは話し合いで決めたし、後はもらった遺産を好きにできる!」なんてことにならないのが、相続手続きの難しさです。

相続した財産に相続税がかかる場合、忘れてはならないのが「申告」です。

いくら相続したのでいくら相続税を納めます、という報告を税務署に行うわけです。代わりにやってくれる人(税理士など)に頼まない限り、あなた自身が申告しなくてはなりません。

もし相続税がかかるのに申告をしなかったり、申告内容にミスがあったりすると、ペナルティとして重加算税や延滞税をたんまり請求されるので注意しましょう。

相続税がかかるなら、申告は絶対に必要な手続きです。

申告までの簡単な流れ

相続の開始から申告手続きまで、なにをすべきかをざっと書き出してみます。

被相続人が死亡する(相続の開始、死亡届を出す)

法定相続人を探す(戸籍謄本を使って調査)

遺産が全部でどれくらいあるか調べる(財産目録の作成と評価額の決定)

相続人同士で話し合って、誰がいくら、なにを相続するか決める(遺産分割協議)

相続税を計算する

相続税の申告書を作る

作った申告書を税務署に提出する(①から⑦まで、10か月で行う必要がある) 

細々としたところは省いていますが、それでも必要な手続きはたくさんありますね。

順番に説明していきます。

①相続の開始

故人が亡くなったら、死亡してから1週間以内に死亡届を出しましょう。

死亡届を出してはじめて故人の財産の相続、火葬や埋葬、生命保険や死亡退職金の手続きができるので、とにかく最初に行うのが死亡届の提出です。

届は故人の本籍地、もしくは亡くなった場所(病院の住所など)にある役所の市民課に提出します。届けを出す人が住んでいるところの役所でも提出できますが、故人が亡くなった場所で出すのが確実です。

なお、死亡届を7日以内に提出し忘れると5万円以下の罰金を払うことになります。

②法定相続人を探す

遺言や遺贈などがない限り、基本的に遺産を受け継ぐのは親族です。

子どもや奥さん、旦那さんなどはすぐにわかりますが、故人が昔結婚していて相手との間に子どもがいた、隠し子がいたなんて話もあるので相続の権利を持つ人を全員きちんと探さなくてはなりません。

法定相続人が何人いるのか把握するために、故人の戸籍謄本を辿ります。後から法定相続人が見つかった場合、遺産分割協議のやり直しもあるくらい重要な手続きです。

③遺産の総額を調べる

相続税の申告を行うにあたって、一番大切なのが遺産の総額をはっきりさせることです。

相続税には大きな基礎控除があって、最低でも基礎控除を超える金額の遺産がなければ相続税はかからないようになっています。

この時点で遺産の総額が相続税がかからない範囲に収まっていれば、基本的に申告しなくて構いません。遺産の総額がわからない場合、適切に相続をしたり相続税を納めることもできないのです。

④遺産を話し合いで分割する

相続人が複数いる場合、誰が、なにを、いくら受け継ぐのかを話し合います。

この人は現金、この人は家と土地、この人は保険金といった具合に割り振るわけです。

⑤相続税を計算する

遺産を誰がいくら受け継ぐかを決めたら、相続税の計算をします。

  • 遺産総額から基礎控除等を引いて相続税がかかる金額を出す
  • 遺産を受け取った割合に応じて、一人一人の相続税を計算する
  • 相続人それぞれで控除を差し引き、最終的な相続税の金額を計算する

という流れです。

相続税は、遺産総額のうち何割を受け継いだかという割合に合わせて個々人の負担が変わるので、④がうまくいっていないと相続税の計算ができません。

⑥相続税の申告書を作る

相続税を計算したら、申告書を作ります。

所得税の申告では一人につき一枚の申告書を作りますが、相続税の申告書では

  • 故人の遺産総額と相続税、債務等
  • 相続人それぞれが受け継ぐ遺産の額と納める相続税、控除

などを全員分まとめて一つの申告書に書き込みます。

数字が合わなかったり必要な箇所が埋まっていなかったりすると、申告できないので注意しましょう。

⑦税務署に行って申告する

作った申告書は故人が亡くなった場所の税務署に持っていきます。受理してもらえば相続税の申告手続きは完了です。

故人が亡くなった日から10か月以内に申告をしなければならないので、遅れないように動かくてはなりません。

なお、遺産の話し合いがうまくいかないときは、とりあえずの配分をして申告しておき、正確に分配額が決まってから申告を修正する、といった方法で対処します。

申告は確実に

戸籍を辿ったり、故人の財産を調べあげたり相続税の計算をしたりするのは普通の人では不可能だと思っていいです。それだけ相続税申告までの手続きは難しいのです。

申告の漏れや遅れがないよう、きっちりと相続を終わらせるためには②の段階で弁護士か税理士にお願いしておくのがおすすめです。