前のパートナーとの子供がいるとどうなる!?
「いざ相続というときに、前妻との子供がいることがわかった!」
「後妻として結婚をしたけど、子供たちとの遺産分割協議がうまくいかない・・・」
「自分の実子と前妻の子、どういうふうに相続すれば?」
「離婚」はいまや、誰にとっても他人ごとではない身近な問題になっています。
厚生労働省のデータによれば、2014年に結婚をした人の数はおよそ64万人。離婚をした人の数は約22万人。
つまり、日本では一年間に3組中1組は離婚をしている計算になるわけです。
これだけ離婚問題が身近になってくると、相続にも影響を及ぼすことがあります。
結婚や離婚につきものなのが、前妻、前夫、そして以前のパートナーとの間にできていた子供のことです。
相続では、故人の配偶者と子供がなによりも優先されるようになっています。きちんと話し合いをしておかないことによって、相続の話し合いが大荒れに荒れてしまう可能性も高いです。今回は、前妻(夫)との間に子供がいる場合に起こりうる問題を考えてみましょう。
ケース:前妻の子から遺産相続の請求をされた
前妻や前夫との間に子供がいると、例えばこのような相続トラブルが起こります。
田中さんは、旦那さんと結婚をするとき「前妻との間に子供が1人いる」と聞いていました。しかし夫は養育費こそ払っているものの、頻繁に面会に行くわけでもなく、田中さんとしてはほとんど意識しない相手でもありました。
夫婦関係は良好で、夫婦の間には長男と長女が一人ずつ生まれています。
子供も独立し、良い年齢なのでお互いがいつ亡くなるかわかりません。そこで、田中さんは今住んでいる家と、少しの貯金だけ残して、あとは2人の子供たちでわけあうように、と話し合いを持ちました。
持ち家の評価額が高いので、田中さんの相続分は遺産総額の半分を越えてしまいますが、幸い子供たちは快く了承してくれています。
そんな話し合いをした数カ月後、あれよあれよという間に田中さんの旦那さんは亡くなってしまいました。
悲しみながらも相続をと考えていたところ、前妻との間にいる子供2人がやってきて、「法定相続分通りの遺産分割を」と要求してきたのです。
前妻の子でも法定相続分は同じ
さて、このような場合ではどうなるでしょうか。
田中さんやその家族が前妻の子供から相続の請求をされる、と少しも考えていなかった場合、大きな変化があるのです。
じつは、前妻の子であれ、前夫の子であれ、故人の実子や養子は法定相続分は一緒です。
今回のケースでは、相続人は配偶者の田中さんが2分の1、田中さんの実子2人と、前妻の子1人の計3人で残しの2分の1ずつをわけあうことになります。
つまり、田中さんの子供たちからすると、自分の分前は「遺産総額の4分の1から6分の1に減る」ということですね。
しかも、田中さんが今後の生活のために「家」と「少しの貯金」を相続するためには、遺産総額の2分の1以上、つまり法定相続分以上の相続をしなければなりません。
配偶者である田中さんの取り分が増えるということは、子供たちがわけあう金額も減るということです。田中さんから見た実子とは話し合いができていても、前妻の子供と同じ内容で話し合いが持てるからどうかは未知数です。
残念ながら、「私がたくさん相続したいので、あなたは少し相続できる金額を減らしてくれ」といっても頷いてくれる人はそう多くないでしょう。
遺産分割協議が合意に至らないのであれば、何ヶ月でも相続は終わらないのです。
前妻・前夫の子供を無視することはできない
故人の前妻や前夫の子供は、例えあなたがその存在を知らない隠し子であっても、相続の取り分や順位は変わりません。
あなたの実子と同じようにとても強い権利が保障されているので、「前妻の子供について考えるのは別に良いかな」というわけにはいかないのです。
ちなみに、「財産はすべて田中さんと田中さんとの間にできた子供に譲る」という内容の遺言があっても、前妻の子供の了解が取れていないと、遺言通りには相続するのは難しいです。
故人の子供である以上、本来相続することのできる権利が最低限守れるようにと用意されている「遺留」分の請求が認められているからです。
前妻・前夫の子がいる場合は、生前に意見調整をしよう!
前妻や前夫の子供がいて、相続問題を考えるときは、多少気まずくても必ず自分のほうから話し合いを持ちかけるのがおすすめです。
遺言は相続においてとても効力の大きな対策ですが、相続人の気持ちを考えない内容である場合反発されやすいというリスクも持っています。
遺言を残すのか、残さないのか。遺言を残す場合はその内容をどうするのかといったことも含めて、故人が生きている間に意見調整をしておきましょう。
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