子供のうち、一人に全てを相続させるとどうなる?
「どうせなら、自分の遺産はこの子に相続させてあげたい!」
なんて方もいるのではないでしょうか。
親からみれば子供はかわいいものですが、かわいがるにしたって違いというものは出てきますよね。
親子といえども人間関係。親友が100人はできないように、恋人が20人できないように、夫婦としてのパートナーが5人できないように、きょうだいの間でも「誰に一番遺産相続をさせたいか」は家庭によって異なるのです。
遺産相続では、さまざまな事情が絡みあってきます。
「子供たちの仲が良くないので一人に相続させたい」
「特別良くしてくれた子供に遺産を残したい」
「少なくともこの子にだけは遺産を渡したくない」
などなど、晩年の介護や同居の有無、きょうだい間の仲の良し悪し、もちろんどの子が一番かわいいかといった事情を考えて相続の相手を一人に絞るわけです。
ただ、ぜひとも気をつけて欲しいのが、「一人に相続をさせると高確率で揉めごとになる」ということなのです。
「一人に相続させる」選択肢はトラブルのもと!
遺産相続では、実家の土地建物や有価証券、現金、生命保険などを相続することになります。
法定相続分できれいに分配しても相続税がかからないくらいの遺産でも、個人で見るとかなりの金額になりがち。つまり、相続人からすればとても大きな金額が手元に転がり込んでくるわけです。
額が大きければ大きいほど、残される財産が多ければ多いほど、遺産相続ではトラブルが起こりやすくなってしまいます。
お金関係のこと、権利関係のことだけに、揉めやすいということですね。
相続トラブルになってしまうケースはいくつもありますが、特に今回紹介しているような「子供の一人に全部の財産を相続させる」場合、かなりの確率でトラブルになると思っておいたほうが良いでしょう。
一人に相続させるということは、他の相続人には1円も相続財産が行かないということ。その反面、他の相続人は「どうしてアイツだけが相続できるんだ!」と感じやすいのです。
例え能力的に、資質的に優れているという子供であっても、他のきょうだいがそれを理解しているかはわかりません。介護や看護をがんばってくれたとして、それが他のきょうだいに伝わっていなければ不満は出てしまいます。
とくに問題なのは、「子供たちが知らない相手、親しくない相手」に全てを相続させたいケースです。例えば、「今の妻との間にいる子供たちには教育も施してきたし、生前贈与もしたので、残りの遺産は前結婚していたときの子供に・・・」といったパターン。
遺産相続に参加することのできない相続人からすれば、隠し子や前妻の子供に遺産を全て託すというのはまさに寝耳に水の話ですよね。
相続トラブルには、できるかぎりの対処をしておくしかないのです。
一人に相続させる場合は遺言が不可欠
遺産を、子供のうち一人のみに相続させる場合、「遺言」が不可欠です。
残す財産が多い人、相続トラブルになる可能性が高いきょうだい関係である、といった場合は確実に遺言を残しておくようにしましょう。
遺言がない場合、相続は相続人を集め、法定相続分を参考にしつつ話し合いで決定します。
相続の権利を持つ人同士が話し合って着点を決めていくわけですから、「特定の一人が全てを相続」なんて結論になることは通常ありえません。
ただ、遺言は絶対的な力を持つわけではないので、やはり一人に相続させたい場合は注意が不可欠です。
一人に相続させたいときは事前周知と相続人の納得を徹底しよう
子供一人に相続させる場合、重視すべきは「他の子供の承認と納得は得られているのか」です。
実は隠し子がいて、その子に・・・といったやり方で遺言を残しても、まず間違いなく揉めてしまいます。
故人が生きているうちに、「相続人を一人に絞ってしまうこと」「一人に全てを相続させても良いこと」を相続人全員に周知し、納得してもらうことが唯一のトラブル回避策なのです。
遺産分割協議は、まとまらなければ1年以上の時間がかかることもあります。調停や裁判を起こすにしても、どうしても時間はかかります。
故人が亡くなってから相続税の申告をするまでの期限も決められており、できれば生前に協議して争いのないよう整えておくように心がけましょう。
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