「借りている土地」も相続財産のひとつ!
いまの世の中、「買わずに借りて済ませるモノ」はたくさんありますよね。
レンタルオフィスに、レンタル家具、賃貸マンション。最近では、恋人や結婚式の友人だってレンタルできてしまいます。
車を購入しても維持費がかかるから、余り乗らないから、とレンタカーや車のシェアサービスを利用している人もいるでしょう。
レンタル商品と同じように、土地もレンタルすることが可能です。
例えば、「マイホームを建てたい!」と思ったとき、土地を購入するか借りるか選ぶことになります。
知っておいて欲しいのは、購入した土地はもちろんのこと、「故人が借りている土地も相続財産である」ということです。
「借りている土地の評価額はどうなるの?」と気になる方もいるでしょう。
借りている土地は、正確には所有者が別にいるので借りている人のものではありません。所有もしていない土地を、購入した土地と同じように評価してしまうのは不公平になってしまいます。
そこで、借地に関しては「借りている権利のぶんだけ評価する」という方法を使います。
「本人のものではないので、土地を自由に活用しても良い権利(借地権)のぶんだけ評価額をつけますよ」という考え方です。
借地の財産評価をする方法
借地の評価額を計算するために必要なものは、
- 自用地としての土地の評価額
- 指定の借地権割合
のふたつです。
計算式としては、
- 自用地と考えたときの評価額×借地権割合=借地の評価額
となります。
それでは、簡単にふたつの要素を説明してみましょう。
自用地としての土地の評価額
「自用地としての土地の評価額」というと難しいことのように感じるかもしれませんが、実際には「土地の路線価」を計算するだけです。
「自分が購入した土地だったら○万円の評価額になる」
「でも実際には土地の所有者じゃないので、所有権がないぶん、借りているぶんだけ負担すれば良い」
というのが借地の評価額を計算するときの考え方です。
自用地としての土地の評価額は、路線価の場合「土地面積×路線価×各種補正率」で計算できます。
詳しくは「財産評価‐宅地(路線価方式)」「財産評価‐宅地(倍率方式)」で説明しているので、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。
指定の借地権割合
国税庁のホームページでは、路線価図や倍率を無料で調べられるようになっています。
そしてじつは、「その土地の借地権割合は何%なのか?」も調べられるのです。
借地権割合は、国税局長という偉い人が決めているので、自分で細々と計算する必要はありません。土地の住所さえわかっていれば、割合が何%なのかすぐわかるのです。
「購入した土地」より「借りている土地」のほうが評価額は安い!
「車を購入する」のと「レンタカーを借りる」のでは、どちらのほうが費用が安いと思いますか?
もちろん、どのくらいの期間、距離利用するのかなどによって答えは変わりますが、「レンタカーで用事を済ませられる人」からすると、大抵「借りたほうが圧倒的に安い」ですよね。
「購入した土地」と「借りている土地」の関係も同じなのです。
購入した土地、つまり自用地としての評価額よりも、借地としての評価額のほうが圧倒的に安くなります。
試しに、ちょっと計算してみましょう。
総面積50㎡の土地があるとします。路線価は1㎡あたり40万円で、奥行価格補正率は1、その他の補正率は関係ありません。
国税庁のホームページで調べたところ、この土地の借地割合は60%でした。
このとき、借地の評価額は、
土地面積×路線価×奥行価格補正率=50㎡×40万円×1.0=2000万円(自用地としての評価額)
自用地としての評価額×借地権割合=2000万円×60%=1200万円
です。
借地であるぶん、評価額は800万円安くなっています。
このように、単に土地の相続といっても、その土地を購入したのか借りているのかによって評価額は大きく変わります。評価額が変われば、相続税の納税額も当然変わってきます。
不動産の相続においては、権利関係の確認や調査が不可欠です。
ある程度の財産評価は自分でもできますが、面倒だなと思った場合は税理士等専門家を頼るのがおすすめです。
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