相続財産のうち不動産の評価額は「土地」と「家屋」それぞれに

家屋の評価額は土地の評価額とまったく別のものとして考えよう!

「親が住んでいる実家を相続するとして、土地と建物ってまとめて評価するの? それとも、別々に評価するの?」

あなたなら、どちらが正解だと思いますか?

実家をはじめとした土地建物は、相続財産のなかでも最もポピュラーな財産といっても良いものですよね。

ただ、普段は土地建物を「不動産」として一つのものとして考えている方が多いでしょう。

ですが、相続をするときは、土地と家屋をまったく違うものとして個別に評価しなくてはならないのです。

どうしてかというと、「建物のあるなし」「故人が所有しているか借り物なのか」といくつものケースが考えられるからですね。

なので、土地は土地、建物は建物で評価額を考えて、最終的に合算するのです。

それでは、「家屋」の評価方法を確認していきましょう!

家屋の評価方法は、3つの分類で考えよう!

家屋を評価するさい、まずは「相続財産である家屋がどんな状態なのか」によって分類をします。

家屋が建築中かどうか、自分たちで使うためのものか、それとも他人に貸すための家屋なのかによって、評価額の計算方法が違うからです。

家屋の評価に必要な分類は、

  1. すでに建物として完成している家屋の評価方法
  2. まだ建築中の建物を評価する方法
  3. 他人に貸すための家屋(貸家)の評価方法

以上3つとなっています。

早速、①から③までのそれぞれの計算方法を抑えていきます。

①すでに建物として完成している家屋の評価方法

土地も建物も、基本的に「便利が良いかどうか」「自分たちのために使えるかどうか」で評価額が決まります。

自分たちが住むため、利用するために持っている家屋のことを、自用家屋と呼びます。

例えば、親が亡くなったときに相続する一戸建ては自用家屋ですね。お金を取っておらず、親戚に無料で貸しているといった場合も自用家屋扱いです。

自用家屋の評価方法は、土地の財産評価をするときに使う「倍率方式」と同じです。

倍率方式とは、固定資産税評価額に一定の数字をかけ、評価額がいくらなのかを決める方法です。

土地や家屋などを所有している場合、持ち主のところに毎年「固定資産税の納税通知書」という書類が送られてきます。この書類には、納めるべき固定資産税の金額のほかに、「固定資産税評価額」というものが記載されているのです。

固定資産税評価額は、家屋のある市区町村が調べてくれた、家屋の評価額だと思ってもらって構いません。

自分で調べなくても書類を確認するだけで良いので、とても楽ですし計算も簡単です。

計算式にすると、

  • 固定資産税評価額×1.0=自用家屋の評価額

となります。

②まだ建築中の建物を評価する方法

もう家屋として完成している建物の評価額は、①または③の方法で計算します。

しかし、「一戸建てを発注して、まだ完成していないのに持ち主が亡くなってしまった!」という場合、どうすれば良いのでしょうか?

その答えが、「費用原価」を使って評価額を計算する方法です。

家屋の評価は、建物が完成した時点で確定します。外側だけ完成しているものの、2階部分はまだ床板を入れていないので生活できない、なんて家屋では意味がないからです。

考え方としては、家屋の価値は建築しはじめたときを0%として、工事が進むごとに20%、50%と上がっていき、工事が終わって完成した時点で100%の価値を持つ、というイメージです。

建築中の家屋を評価するときは、いま何%なのか、「相続がはじまった時点で、家屋が何%できあがっているのか」が重要となります。

言い換えると、「建築が始まってから相続開始まで、いくらかかったのか」です。

例えば、1億円の予算で家を建てているとして、人件費や材料費で5000万円を使っているなら、費用原価は5000万円というわけです。

ついでにいうと、これまでにかかった費用原価をそのまま評価額とすると、実際にはまだ使えない家屋の評価額が高くなりすぎてしまうので、

  • 費用原価×70%=建築中の家屋の評価額

という計算をして少し低めの数字が出るよう評価します。

③他人に貸すための家屋(貸家)の評価方法

家屋を他人に貸すために利用していると、自用家屋に比べて持ち主は家屋を自由に使えませんよね。

なので、自用家屋の計算式を基準にして、借り主が持っている「借家権」のぶん家屋の評価額を差し引きます。

借家権の割合がどれくらいかというと、大体30%です。例外もあるので、実際に計算をするときは国税庁のホームページで調べてみましょう。

計算式は、

  • 固定資産税評価額×1.0×(1-借家権割合)=貸家の評価額

です。

家屋の評価は、以上3つの分類と計算式をつかえばわかります。ただ、建築中の建物を相続する場合費用原価を出すのが大変なので、そこだけは注意しておきましょう。