相続財産の中で一番評価が難しい「株式」について

相続財産に株式があるときは慎重に評価しよう!

「親父がコツコツ買っていたこの株券・・・いったいいくらになるんだろう?」

目の前にある株券の価値がどれくらいなのか、あなたは判断できますか?

土地や建物を始めとする財産の多くは、評価をするのが大変です。しかし、不動産や宝石よりはるかに評価が難しいのが、「株式の評価」なのです。

株式はとても優れた経営の方法です。インターネット取引もどんどん便利になっているので、個人的に株式を所有している、投資している人はたくさんいます。

「株を買っているなんて思わなかった!」という人もいるので、株について興味がなくても、ぜひ評価の方法は知っておきましょう。

それでは、どうして株式の評価が難しいのかを確認していきます。

株式の評価が難しい理由は「上場と非上場の違い」と「変動する株価」

日経平均株価を見てもらえばわかるように、株価は常に変動するものです。

新技術の発表、経営者の交代、業績アップや法令の変更などによって、株式が「欲しい!」人が増えれば株価はあがり、「いらない!」と思った人が増えれば株価は下がります。

数分単位で水の流れのように高くなったり低くなったりする株価は、基本的に一定の数字に落ち着いてくれないので、「この会社の株式は○○万円の価値がある!」と確定するのが難しいのです。

そのうえ、株式には「非上場」の場合があります。

上場している、つまり市場に銘柄が公開されていて、誰でも株式を売ったり買ったりできる場合、市場価格を見れば良いので、大体の評価額はすぐわかります。

しかし非上場の場合、適正な値段をどうやって決めるのか、を考えるところからはじめなければなりません。

非上場株式は、上場株式よりもさらに評価が難しい、悩ましい存在なのです。

  • 上場株式の評価方法
  • 非上場株式の評価方法
  • その他の場合は?

とパターンごとに評価の仕方を説明してみますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。

上場株式の場合は相場を見て考える

上場株式の評価額は、「相続開始時点の株価」と「相続開始から3ヶ月の株価の平均それぞれ」を比較して、一番価格が安いものを選びます。

なお、株価は通常市場の取引がはじまった時点の価格「始値」と、一日の取引が終わった時点での価格「終値」というものがあって、評価のさいには「終値」のほうを使います。

実例をあげて考えてみましょう。

吉田さんのお父さんが10月20日に亡くなり、とある会社の株券が100株ぶん見つかりました。

20日の最終取引価格(終値)は、1株1万円です。

株式の評価をするためには、

  1. 10月の株価の平均(10月1日から20日まで、毎日の終値を調べて平均を取る)
  2. 9月の株価の平均(1ヶ月毎日の終値から計算)
  3. 8月の株価の平均(1ヶ月毎日の終値から計算)

というふうに、合計3ヶ月分の株価の平均を求めます。

①が1万2千円、②が9800円、③が9900円だったとすると、最終取引価格と比べても②、9月の平均9800円が一番安い株価になりますよね。

この場合、吉田さんの息子さんが相続する株式の評価額は、9800円×100株で98万円になる、というわけです。

非上場株式の場合は?

非上場株式の場合、まず「どうやって評価額を決めるか」4つの方法のなかから選ばなければなりません。

  1. 同じような規模、業種で株式を上場している会社の株価を参考に決める
  2. 会社の資産と負債から、株券一枚あたりいくらの価値があるか計算する
  3. ①と②のどちらも含めて計算する
  4. 一年間でどのくらい配当がもらえるのか、その金額から決める

のどれかです。

①の場合、株の配当金や会社の利益、会社の資産総額から評価額を決定します。

②の場合、(資産額-負債額-法人税)÷発行されている株式の数を計算した結果を評価額とします。

③の場合、①で決めた金額×L+純資産額×(1-L)です。Lは、会社の規模によって決められている数値のことです。業績や業種によって、数値が違います。

④の場合、(株式の年間配当額÷10%)×(1株あたりの資本金額÷50円)という計算を行います。

このように、非上場株式の評価方法はとても複雑です。

上場予定の株式の場合は?

余談ですが、例えば「業績が上がってきていて、上場する予定の会社の株を持っていた!」なんて場合、株式を上場させるときの価格(公開価格)が評価額となります。

株式の評価、それも非上場株式の場合はどれも計算が複雑で、専門知識も必要です。会社の規模によってどの方法で計算すべきかなども違ってきます。

トラブルや計算間違いが起きないよう、できれば税理士などの専門家に任せるのが一番です。