現金一括納付も延納もできない場合は、物納も可能!
「相続税をどうやっても納税できそうにない・・・一体どうすれば良いんだろう?」
物納は、納税における最終手段です。
相続税の納付方法は、基本的に「相続税の申告期限(故人が亡くなってから10ヶ月)までに現金での一括払い」となっています。
土地や不動産はたくさんあるけれど現金がない、などの場合は、相続税を最長20年に渡って分割して納付できる延納制度を利用できます。
では、延納を選んだとしてもまだ相続税を払えそうにないときは? 金銭ではなく、価値のある資産(有価証券や土地など)を現金の代わりに納付することができるのです。
ただし、物納を利用するためには、とても厳しい条件をクリアしなければなりません。
今回は、物納を使うにあたって必要な知識と、どんなときに物納を選択すると節税できるのか? を説明します。
物納をするための条件
物納をするための条件は、以下の4つです。
- 延納をしても、現金で相続税の納付をするのが難しいこと
- 物納に使用できる財産があって、なおかつその財産は相続財産であること(自分が元から持っていた財産を物納することはできません)
- 物納する財産が、持主や土地の範囲が定まっていないなど、権利関係等があいまいな財産(管理処分不適格財産)でないこと
また、物納しても良い財産があるときに、違法建築や劇場など、簡単に売却することができない財産(物納劣後財産)を物納しないこと - 物納するために必要な書類を用意して、所定の期限までに税務署へ提出すること
以上です。
物納をするためには、最低でも4つ全ての条件を満たしていなければなりません。
誰でも利用できる納付方法ではないので、相続税の支払いが難しいときは、まずは自分の相続財産からどんな納付方法が可能なのかも調べておくと良いでしょう。
物納することができる財産は決まっている!
物納をするための条件その②とその③では、小難しい言葉が並んでいましたよね。
じつは、物納しても良い財産ははっきりと決まっているのです。また、物納財産には種類によって第1順位から第3順位と優先順位が決められています。
物納財産の種類と優先順位について、まとめて説明してみます。
なお、第1順位の財産があるときに、第2順位以下の財産を物納することはできないので注意しましょう。
- 第1順位の財産 国債・地方債・不動産・船舶
- 第2順位の財産 社債や株式、投資信託や貸付信託などの有価証券
- 第3順位の財産 動産その他(土地など)
というふうになっています。
ここに加えて、他の相続人と共有名義の財産や、境界や範囲が不確定な財産、すでになんらかの担保などにされている財産など、「物納をする人の意思ですぐに売却などができない財産」「そもそも売値を付けるのが難しい財産」などは対象外となっているわけです。
少し話は変わりますが、いわゆる重要文化財や国宝、世界的に見ても価値のある美術品などを持っている場合は、順位に関わらず物納財産にすることができます。
物納をして節税になるパターンとは?
それでは、物納をしたほうが良いパターンを考えてみましょう。
そもそも、物納することができるのは、
- 相続税を一括納付するほどの金銭的な余裕がない
- 延納でも相続税を払うのが難しいくらい金銭的な余裕がない
- ただ、価値のある財産は持っている
という状況に限られます。
このとき、大ざっぱにいうと、「なんとかして持っている財産を売却して現金を作る」か、「物納をする」のどちらかを選ぶことになります。
財産を売却したときにかかる金額と、物納をしたときにかかる金額を計算してみて、物納のほうがお得になるのであれば、物納をしたほうが良い、節税になる、ということです。
財産を売却する場合、売却するために必要な評価額の確定や、業者に支払う手数料に相続税が必要です。
物納をする場合、物納財産の価値がいくらなのかを調べる料金が必要です。物納をして、相続税の申告期限を超過したら、利子税もかかります。
実際に物納が節税になるケースにあてはまるかどうかは、かなり複雑な知識が必要です。
細かい計算や比較については、税理士や鑑定家などプロの手を借りなければ判断できないことが多いので、無理をせず専門家に頼りましょう!
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