更生の請求をすれば相続税が戻ってくる!?
「相続税を多めに納めてしまった!」
「よくよく計算してみると、納めるべき相続税額より少なく納税してしまった・・・」
こんなとき、あなたならどうすれば良いと思いますか?
税金は、「○○万円儲かったので、儲かった金額に対する△△万円税を払います」という計算を行います。
所得税の計算なら「去年もらった給料の総額」で税額が決まります。去年○○万円もらった、という事実は変わりようがないので、納税額を間違うことはありません。
ただし、相続税の場合はちょっと事情が違います。
相続税は、大まかにいうと、
①相続財産がどれだけあるのか探しだして
↓
②土地や建物、有価証券などを評価していくらの価値があるのか値札をつけ
↓
③節税できる制度やテクニックを使って
↓
④最終的に決まった、遺産すべての評価額に対しての税額を計算する
という流れで税額が決まります。
「ちょっとした勘違い」や「計算間違い」「できる節税をしていない」といった事情があると、「儲かった○○万円」の金額が簡単に変わってしまうのです。
当然、「適正な納税額△△万円」も変わってしまいます。
つまり、相続税を納めすぎて損をしている人や、相続税を少なく納税して得をしている人が生まれてしまうわけです。
過少申告をしている場合、「修正申告」というものを行って、足りない相続税を追加で納税します。故意に相続税を少なく納税していた場合、脱税になるのでペナルティは大きいです。
同じように、相続税を払いすぎている場合、「更生の請求」という手続きを取ることで、相続税を払い過ぎたぶんお金を取り戻すことができるのです。
相続税を支払い過ぎている場合、黙っていても戻ってこない!
更生の請求で重要なのは、「黙っていても払い過ぎたお金は戻ってこない(相続税の還付は受けられない)」ということです。
相続税を払い過ぎたのかどうかは、納税を行ったあとでも計算できますから、一度自分で調べてみる必要があるのです。
更生の請求ができるのは、「相続税の申告期限から5年以内」と決まっています。
5年以上まえに相続をして、申告をしている場合、更生の請求そのものができなくなるので、注意しましょう。
また、例外として、「申告期限よりあとに遺産分割をした場合、それを知ってから2ヶ月か4ヶ月以内」は更生の請求ができます。
あとから遺言書が見つかった、遺留分の減殺請求があった、相続人の数が廃嫡や認知などで増減した、などの場合です。
ほかには「どうしても遺産分割の話し合いが終わらない!」なんてとき。
ひとまず法定相続分で税額の計算をして、相続税も納税しておいて、実際に遺産分割をしてから個々人で納税額の調整をする、という方法をとるときの救済措置でもあります。
更正の請求をする方法
相続税の更生の請求、もしくは修正申告の方法は、「所定の期限までに、もう一度相続税の申告書類を提出する」ことだと思ってもらって構いません。
必要な書類はほぼ変わらないからです。
申告に必要な書類をそろえて、「こういう計算と根拠の結果、相続税を納め過ぎていました」と証明できれば、払い過ぎた部分を還付してもらえます。
もちろん、相続税の申告はとても大変な作業ですから、できれば税理士を頼っていただきたいところです。
節税をせずに納税した人は、節税に強い税理士を探そう!
相続税の納税額が決まるまでの流れを、①から④までで説明しましたよね。
このなかで、最も更生の請求をして還付金を取り戻せる額が大きいのは、③の節税対策をあまりしていなかった場合です。
相続は大変な手続きです。
節税のあれこれを考えるのが面倒で、遺産分割協議で疲れ切ってしまって、どうせ遺産がすべてなくなるわけではないんだから良いだろう、とたくさん納税してしまっている人もいます。
また、じつは税理士の選び方によって、どの程度節税を行っているのかは異なります。
税理士といっても専門分野や税に対する考え方はさまざまで、相続税についてあまり詳しくない人、限界ギリギリまで節税をする人、ほとんど節税をしようとしない人もいるのです。
もし、「もう少し相続税を安くできたのでは?」「節税対策をまるでしていなかったなあ」なんて場合、「相続税の節税に強い税理士」に相談するのが一番効果的なのです。
これから相続をする人、少しまえに相続をした人も、一度税理士に相談してみませんか?
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