土地を複数の相続人で分け合う「分筆」は専門家に相談を!

分筆するなら要注意!「土地の評価単位」はとても複雑!

「土地の評価区分? 地目? 筆? なにそれ!?」

遺産相続をするにあたって、知っておいたほうが良い知識はたくさんあります。

ただ、どの知識も複雑で難しいので、専門用語が出てくると手に負えない! と思ってしまうこともありますよね。

もちろんすべてを理解しなくても、専門家に任せることで有利に節税しつつ相続することは可能です。

ただ、「専門家に任せたほうが良いのかどうか」を判断するための知識があったほうが、より良い選択ができるのは確かです。

今回ご紹介するのは、土地の評価単位についてのお話です。

土地の評価基準や評価方法は、じつは意外と奥深いものなのです。

土地の種類である「地目」

土地の評価をするためには、土地をどう区分するかの「評価単位」と、どんな土地なのかを表す「地目」が重要になります。

土地などの不動産は、取得したとき「登記」といって役所に登録しなければなりません。

「なんのための土地で、どういう土地で、広さはどのくらいで、所有者は誰なのか」といった情報を役所で管理することによって、土地という明確にわけづらいものの所有権を明確にするわけです。

そんなわけで、土地には必ず「地目」というものが登録されています。

宅地のための土地、田んぼのための土地、山林、原野など、いくつかの地目があって、「田んぼは田んぼの評価」「宅地は宅地の評価」といったふうにわけて評価計算を行うのです。

地目に関しては、土地を登記したときに登録してあるのですが、あなたが土地を相続するとき、実際の地目が変わっていることもあります。

田んぼを潰して畑にしている、なんてケースです。なので、登記簿の情報を見つつ、土地の地目は実地調査で確認する必要があります。

登記されている土地一つ=「筆」

次に重要なのは、「評価単位」、つまり土地の数え方です。

登記されている土地一つぶんのことを、「筆」と呼びます。一筆の土地、なんていい方をします。

例えば、宅地という地目で登記されている一筆の土地があったとします。

相続人が2人いて、この土地を半分ずつに分割(分筆)するとしましょう。

ではこの場合、評価単位はどうなるのでしょう?

このケースの場合だと、一筆の土地を2人が半分ずつ手に入れているので、「一筆の半分の土地」として、それぞれ相続した土地の評価額を別個で決めることになります。

また、一筆の土地や分筆した土地でも、利用方法が違う場合それぞれ別で評価をします。

例えば同じ敷地内に、自宅と店舗を並べて建てているという財産があったとしましょう。

この土地の「地目」は宅地です。家も店舗も一つの土地として登記されているので、一筆ぶんということになりますね。

土地を相続するのはあなただけだとすると、取得者ごとに評価をわける必要はありません。

ただし、「家」と「店舗」は厳密には別の目的で利用していますよね。この場合だと、「あなたが相続する一筆の土地のうち、家部分の評価額」と「あなたが相続する一筆の土地のうち、店舗部分の評価額」をわけて求めても良いことになるわけです。

さらに、故人が自宅も店舗も関係なく利用していて、相続人があなた一人なら家と店舗をわけて考えなくても良い、だったり、家と店舗で別の人が相続する場合は家部分と店舗部分で評価をわけたり、などなど突き詰めていくともっとややこしいことになってしまうのです。

なお、土地を分筆するにしても、明らかに不公平な分筆の仕方をしたり、変な形に分筆したり、無道路地ができるように分筆したりすると、別評価ではなくて一筆の土地として評価することになります。

分筆の仕方、誰が相続するか迷ったときは税理士へ!

  • 土地は地目によって評価の仕方が違う
  • 利用目的ごとにわけて評価をしても良い
  • 相続人が複数いるときは、人数分にわけて評価する

というのが、ここまで説明してきた内容です。

相続人があなた一人しかいない場合は、あまり深く考える必要はありません。

ただ、土地を複数の相続人でわけあう場合、つまり分筆をする場合は注意が必要です。

土地の評価はさまざまな条件、要素が絡まり合って決まります。

  • 土地をどう分筆するか?
  • 土地が欲しいという人が複数いる場合はどうすべきか?

迷ったときは、できれば専門家に頼っていただきたいのです。

どうしてかというと、そのときどきにおいて最適な分筆の仕方、評価単位の決め方は違うからです。

「土地の相続が難しそうだぞ!」と感じたときは、ぜひ税理士に連絡して、あなたの相続において一番良い解決策は土地どう分筆することなのか。どう相続することなのかを相談してみてください。