評価額が下がる特殊な土地|土壌汚染・埋蔵文化財・墓地ほか

特殊な事情がある土地の評価額は安くなる!

「特殊な事情がある土地は、評価額が大幅に減額される!」

って、ご存知でしたか?

ほとんどの方にとって、「特殊事情のある土地」の評価減はあまり関係のない事柄だと思いますよね。ただし、もしあなたが相続する土地に特殊な事情とやらがあった場合、単に相続税が安くなるというだけでは済みません。

その他諸々さまざまな手続きが必要になってくる、なんてこともあり得てしまうのです。

土地の扱いは、とても複雑です。

個別の条件がたくさん設定されていて、「○○のときは△△すべし」「□□のときは◎◎すべし」といったふうにしなければならないことが規定されています。

土地を相続し、特殊な事情のある土地の所有者になる場合、土地に関する全責任はあなたが負わなければなりません。

この機会に、相続するなら避けては通れない、「土地に特殊な事情があるときの評価方法」を知っておきましょう!

土壌汚染がある土地の評価

特殊な事情、と一口にいってもさまざまですが、最も影響が大きいのは「土地が土壌汚染されているケース」です。

土壌汚染とは、いわゆる公害のひとつです。

一見するとなんでもない普通の土地に見えていても、地面の下には重金属や工場の排水など、人体に有害な物質が沈着してしまっているわけです。

当然のことながら、有害物質盛りだくさんの土地を活用するのは困難です。

もし、土壌汚染されている土地を耕し、家庭菜園で野菜を作ってしまったら?

有害物質をたっぷり含んだ恐怖の野菜の完成です。当然、健康被害に発展してしまいます。

危険性、リスク、言い方はなんでも良いのですが、とにかく危ないので土壌汚染されている土地は評価額を下げられるのです。

土壌汚染がある土地の評価額は、

  • 汚染がないと考えたときの評価額-浄化にかかった金額-その他もろもろの被害額(使用収益制限減価、心理的要因の減価)

という計算式で求めます。

例えば、5000万円の土地があったとして、この土地の浄化に4000万円かかったとすれば、土地の評価額は1000万円まで下がるというわけです。

なお、土壌汚染の有無は、実際に地質の調査をしてみないとわかりません。当然、調査をするには時間とお金がかかります。

地下に文化遺産が埋まっている土地の評価

土壌汚染とは別の意味でやっかいなのは、「土地の地下に文化遺産が埋まっている=埋蔵文化財があるケース」です。

社会的、歴史的な価値があるもの。過去の遺物が地下に埋まっている、なんて場所なんてそうそうあるわけない。そう思ってはいませんか?

じつは、埋蔵文化財がある土地は結構あります。

ちょっと有名な遺跡が近くにある土地、とくに奈良県などは、あっちを掘っても文化財、こっちを掘っても文化財、というくらいいろんなものが出土するのです。

「土地も買ったし、念願のマイホームを建てよう!」と基礎工事を入れたところ、文化遺産が見あえなく工事は中止、自分の土地なのに、自分の土地として利用できない・・・なんてケースが結構あります。

文化遺産は国の宝なので、勝手に工事を進めて壊したりすることはできません。

もし、あなたの土地に文化遺産が眠っていることがわかった場合、あなたがお金を使って発掘調査をしなければならないのです。

ただ、これではお金を出すだけで損をしてしまいますよね。

そこで、文化遺産が埋まっている土地に関しては、

  • もともとの土地の評価額-調査や発掘にかかった費用の8割

という計算をして、評価額を減額できるようになっているのです。

墓地、高速道路、踏切・・・その他の特殊事情

特殊な事情がある、つまりなんらかの理由によって不便になっている、土地を自由に扱うことができない場合、評価額は下がります。

まず、墓地。「墓地を相続した」というケースでなくとも、「近くに墓地がある」なら、評価額は1割引きです。

次は、高速道路。高速道路に接していると、とてもうるさいですよね。

家を建てても、ひっきりなしに車が行き交うのでそのぶん不便を感じることになります。というわけで、こちらも墓地と同様評価額を1割減にできます。

そして、ごみの焼却施設が近くにある場合。

大量のごみが持ち込まれることによる悪臭、大型トラックの通行、焼却処理に伴う煙などの害が考えられるので、1割引き。

最後に、電車の線路や踏切が隣にある土地です。

線路がある、踏切がある場合、当然電車が通るのでうるさいです。踏切なんてなおさらですよね。さらに、こういった場所は事故が発生しやすいというリスクもあります。というわけで、1割引きです。

このように、特殊な事情を抱えている土地があると、そのぶん評価額は安くなります。

現地を見に行く、調査を入れることで判明する特殊事情も多いので、評価額を決めるときは慎重に動きましょう!