評価額が下がる特殊な土地|「道路計画」や「区画整理」

役所が利用する土地は、評価額が安くなる!

相続において、土地の評価額を決めるまでの計算方法や考え方には、さまざまな決まりごとや制限があります。

ですが、どんな状況であっても変わらないルールが、たった一つだけ存在しています。

それは「土地を便利に使えない理由がある場合、その理由に応じて土地の評価額は減額される」ということです。

今回ご紹介する、

「相続する土地を、政府や役所が使おうと考えている場合、土地の評価額は減額される」

というのも、評価額を安くできる理由のひとつです。

きれいに舗装された道路は、誰もが気兼ねなく使える日本の財産ですよね。

交通渋滞が起こらないよう、都市の機能が活かせるように、道路は基本的に役所が計画を立てて作ったり、形を整えたりしています。

こういった開発計画のことを、「道路計画」や「区画整理」と呼びます。

役所が使う予定なので、自分の土地なのに自由に使えない。

使うにしても、ある程度の配慮をしながら利用しなければならない。これは大きな不自由です。だから評価額は安くなります。

では、道路計画や区画整理といった役所の仕事が絡んでくる場合、どうやって土地の評価額を計算すれば良いのでしょうか?

道路計画がある土地の評価はどう減額されるの?

道路計画地の評価額計算に必要なのは、

  • 土地本来の評価額(路線価など)
  • 地積割合と容積率から見つける補正率

です。

これではちょっとわけがわからないと思いますので、説明を加えていきましょう。

土地本来の評価額

道路計画地を含む、あなたが相続する土地の評価額を計算します。

ほとんどの場合、「道路に接している1㎡あたりの金額」路線価×面積で計算します。路線価30万円の土地で、土地面積が100㎡なら、

路線価=100㎡×30万円=3000万円

となるわけです。

地積割合

地積割合は簡単です。

土地全体のうち、何%が道路計画地なのか、その比率を求めます。

例えば、土地100㎡のうち、20㎡が道路計画に組み込まれているなら、20%となります。

容積率

面倒なのが容積率です。

要するに、「敷地内にある建物の延べ床面積の合計は、土地の総面積とくらべて何%なのか」を指します。

以上の地積割合と容積率を求めれば、国税庁が公表している都市計画道路予定地の補正率表を見て、適切な補正率を選べるのです。

こうやって見つけた補正率は、例えば「0.91」だったり、「0.94」だったりさまざまです。

一番低い補正率で、「0.50」つまり土地の評価額は半額まで下がります。

細かい部分を省略して計算すると、例えば、

路線価×補正率=3000万円×0.99=2970万円

というふうに、多少の減額がされることが多いです。

ちょっとした違いに感じるかもしれませんが、土地の路線価が高かったり、面積が広かったりすると、数百万円単位の減額になります。

区画整理をしている土地の評価が安くなる理由と方法は?

ちょっと住宅街を思い浮かべてみてください。

同じような一戸建てが立ち並ぶ住宅地のなかを走る道路があるとして、「碁盤の目のようにきっちりまっすぐ通っている道路」と、「曲がりくねって見通しの良くない道路」があるとすると、果たしてどちらのほうが使いやすそうでしょうか?

ほとんどの方にとって、まっすぐな道路のほうが使いやすいでしょう。

このように、形がいびつな道路や建物を、使い勝手が良いように拡張したりずらしたりして整えるのが「区画整理」です。

あなたの土地が区画整地の対象になっている場合、その土地は役所の工事が入るので利用することができません。

土地に家を建てていた場合、取り壊しになるので住めなくなってしまうので、立退き料として「仮換地」という別の土地をもらったり、現金で補填してもらえるのです。

このとき、あなたが相続した土地の評価額=仮換地の評価額と同じとして良い、ということになっています。

仮換地の評価額で良い、というのがポイントです。仮換地の評価額は倍率方式で計算するからです。

倍率方式は、路線価では対応していない土地の評価額を求めるための計算方法です。

なので、「本来の土地を路線価方式で計算する」よりも「仮換地を倍率方式で計算する」ほうが、土地の評価額は安くなるのです。

なお、区画整理の評価額にはちょっとした例外事項があるので抑えておきましょう。

仮換地の造成工事(土地を整えて家を建て替えるなど)が1年を越える場合、仮換地の評価額の95%が評価額となります。

また、

  • 仮換地を利用できない(利用しても良い日付が決められている)
  • 造成工事が行われていない

場合は、区画整理される土地本来の評価額を求めます。

計画道路地や区画整理の対象になっているかどうかは、役所などで調べてみないとわかりません。

土地を相続するときは、いろんな方面から土地の素性を調査するように心がけましょう。