広い土地は評価額が減額できる!?
「親が地主で広い土地をたくさん持っている」
「相続した土地がかなり広い土地だった!」
そんなときは、「広大地評価」を使って評価額を安くできるかもしれません!
広大地とは、「その地域の一般的な広さの土地とくらべて、圧倒的に広い土地」のことです。相続した土地が広大地であると判断できる場合、その土地の評価額は「広大地補正率」を掛けることで、大幅に減額できるのです。
では、どうして広い土地だと評価額を安くできるのでしょうか? 気になりますよね。
じつは、土地の活用にはさまざまな制約や条件が決められています。これは相続税とはまったく関係のない法律の問題です。
例えば「都市公園法」という法律があります。簡単にいうと、ある程度の人口がある土地には公園を作らなければなりません。公園は公共物ですから、つくるのは当然地方公共団体の仕事です。
また、日本の道路交通事情は国や地方自治体が管理するものです。土地が個人の所有物だからといって、ガタガタな道路や通りづらい道路を作るわけにはいきません。なので、広い土地であればあるほど、公共の手を入れて計画的に道路を作ることになるのです。
このように、広大地は個人の所有物ではあるものの、その利用や中身に関して一定の制限を受けるので評価額を減額できるのです。
では、どんな土地であれば広大地として認められるのか、広大地評価の要件を確認してみましょう。
広大地評価の要件
広大地として認めてもらうために必要なのは、
- 一定以上の広さ(面積)があること
- 大規模な工業用地でないこと
- 中高層マンションの適地でないこと
です。
それぞれを見ていきましょう。
一定以上の広さ(面積)があること
広大地として認定される土地は、いわゆる大都市と呼ばれる地域であれば500㎡以上、地方であれば1000㎡以上、調整区域では3000㎡以上といわれています。
ただ、これはあくまでも目安です。
広大地の基本は、「周辺の一般的な土地よりものすごく広いこと」ですので、例えば500㎡未満の土地でも広大地と認められることはあります。
大規模な工業用地でないこと
広大地の適用要件として、「その土地に一番適した利用法がなにか」を考えるのが良いです。土地の活用方法として、「一戸建てなどが並ぶ住宅街」が一番であると答えられるのが、広大地だと思ってもらえば良いでしょう。
要するに、家を建てるより、大規模な工場を建てたほうが良い土地である場合、広大地とは認められない可能性が高いのです。
実際工業用地として認められる土地は、周囲のほとんどは工場ばかり、○万㎡の面積がある、などとてもわかりやすい特徴を持っています。
中高層マンションの適地でないこと
中高層マンションとは、地上3階建て以上のマンションやアパートのことです。
戸建てに向いた土地は広大地評価の対象ですが、マンションに向いた土地は広大地評価の対象とはできない、ということです。
「土地の一部に3階建て以上のマンションがあるなら、広大地評価は無理なの?」
と思う方もいるでしょう。
ちょっと難しいのですが、ここでも「その土地を活用するにあたって一番良い利用法はなにか」が重要になってきます。
例えば、一つの土地に戸建てとマンションのどちらもある場合。
マンションを建てるのが最高の活用法でないなら、「宅地として使うのが一番良い土地」と考えて広大地評価することもできたりします。
広大地評価できるかどうかは、周辺環境も含めて考えよう!
広大地の適用は、効果が大きいだけにとても複雑です。
容積率(その土地にどれくらい建物があるか)が300%以上あったり、公園や道路の敷設などがほとんど必要ない土地だったりすると、広大地評価は受けられません。
「相続した土地が広大地に該当するかどうか」を決めるのは、土地の広さ、適地はなにか、周辺環境はどうなっているのかなど、専門家と話し合って現地を見てみないと判断できないのです。
広大地評価するとどのくらい減額できるの?
最後に、ある土地を広大地評価すると、一体全体どのくらい評価額を安くできるのか計算してみましょう。
1000㎡の土地があるとします。路線価方式で計算するとして、奥行価格補正率は0.90、路線価は1㎡あたり30万円としましょう。
土地の評価額は、
- 路線価×奥行価格補正率×面積=30万円×0.90×1000㎡=2億7000万円
となります。
では、この土地が広大地だった場合、どうなるでしょうか?
広大地の評価額には、「広大地補正率」を使います。
広大地補正率は、「0.6-(0.05×土地面積÷1000㎡)」です。
この場合、
広大地補正率=0.6-(0.05×1000㎡÷1000㎡)=0.55
広大地評価額=路線価×広大地補正率×面積=30万円×0.05×1000㎡=1億6500万円
広大地評価をすることで、1億500万円も評価額を安くできました。
適用できれば効果は絶大! 広い土地を相続する方は、広大地に当てはまるかどうか、一度専門家に相談してみましょう。
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