路線価方式や倍率方式とは違う、不動産鑑定による評価で減額!
「この土地の評価額は、路線価方式で計算して、1000万円だ!」
はたして、それで満足しても良いのでしょうか?
相続財産である土地の評価額は、
- 1㎡あたりの路線価と面積のかけ算で求める路線価方式
- 固定資産税評価額に国税庁が公表している倍率をかけ算する倍率方式
のどちらかで求めるようになっています。
大抵の場合路線価方式か倍率方式で計算すれば、時価評価に近い評価額がわかります。不動産の登記簿と、国税庁のホームページさえあればすぐに計算できる、とても便利な方法です。
ですが、こういった計算方法はあくまでも基本に過ぎません。
「こういった土地の価格はこれくらい」というものを求めるための計算式なので、より細かな土地の現状を見て価格付けを行っているわけではないのです。
こう考えてみましょう。
古本屋では、いま人気のマンガは買取額が決まっていたりしますよね。一冊200円で買い取りますというマンガを古本屋に持ち込んだとして、もし、その本がボロボロだったら、200円で買い取ってもらえるでしょうか?
買取価格200円というのはあくまで目安です。
売るマンガになんらかのマイナス要因があるなら、200円より安い金額、例えば100円で買い取りとなるでしょう。
本なら店頭買取ですが、土地の場合は「不動産鑑定士」に土地の評価を出してもらうことで、路線価方式などより評価額が安くできる場合があるのです。
不動産価格を決める3種類の価格決定法
不動産の適正価格を決める方法は、「原価法」、「取引事例比較法」、「収益還元法」の3種類にわけられます。
それぞれ、不動産価格を決めるにあたって、費用原価を重視するか、市場の動きを重視するか、その土地がどれくらい利益を生み出すのか、を考える方法です。
①原価法
「この不動産をいま新しく手に入れるなら、いくらかかるか」で考えるのが原価法です。
形のないサービスは別ですが、形のある商品の値段は、「原価+利益」で決まります。
例えば、缶ジュースの値段は一本あたり20円くらいだといわれています。20円の原価に、会社の利益が積み重なって一本120円、130円になっているわけです。
いわゆる市場価格、「この土地を市場で手に入れるならいくらかかるか」という価格には、原価に加えて業者の手数料や土地を売りに出している人の儲けが乗っています。
これらの部分を切り離して、「純粋に土地、建物を新しく手に入れるためには、原価がいくらかかるのか?」を考えるのが原価法です。
②取引事例比較法
こちらは、①の原価と違って、「現時点で同様の不動産を手に入れようと思ったら、市場価格でいくらなのか」を基準にするやり方です。
同じくらいの広さ、駅までの距離、土地の形など、似た特徴を持つ不動産が○○万円で購入できるから、市場原理から考えて、この土地も○○万円である、と考えるわけです。
③収益還元法
収益還元法はちょっと考えが複雑です。
「この土地はどのくらいお金を生み出してくれるのか」、収益性をもとに考えます。
例えば、賃貸マンションが建っている土地なら、単純に「土地+マンションの評価額」ではなく、「この土地とマンションはどのくらいの儲けを生み出すことができるのか?」で考えます。
細かい計算は、直接還元法やDCF法というものを使いますが、不動産鑑定額を実際に自分で計算する必要はないので置いておきましょう。
利用しづらい土地、不利な部分がある土地は鑑定評価をお願いしよう
実際どんな土地なら不動産鑑定評価をしたほうが良いのか、例をあげてみます。
もし以下の条件に当てはまる土地を相続するなら、鑑定評価で節税できる可能性が高いです。
- 土地ががけに接している。もしくは傾斜の強いがけ地にある
- 道路に接していないので出入りがしづらい
- 工場等が近くにあって大気汚染がある、騒音の問題がある
- 広大地評価できる、とても広い土地である
- 形が悪かったり、間口が狭かったり、奥行きが深すぎたりする
- 農地や山林などである
- 都市計画道路予定地だったり、区画整理を必要とする土地である
- 雑種地(不動産登記規則で決まっている23の地目以外の土地)である
- 昔に比べて活気のない地方都市の事務所地である
これですべてではありません。
要するに「不便な土地、使いづらい土地、特殊な事情がある土地」は、鑑定評価をお願いしたほうが良い、ということです。
相性の良い不動産鑑定士を見つけよう!
不動産の鑑定評価ができるのは、資格を持った「不動産鑑定士」だけと定められています。
なので、鑑定評価をお願いしたいときは不動産鑑定士にお金を払って仕事を頼まなくてはなりません。
ただし、不動産鑑定士もピンキリですし、あなたとの相性もあります。
任せる人によってどのくらい節税できるのかは違ってくるので、鑑定評価を頼むときは顔合わせをして、信頼できる人かどうか必ず自分で判断しましょう。
相性の良い不動産鑑定士を探すのが面倒な人は、税理士事務所と兼任している事務所を探したり、税理士からの紹介で選ぶのがおすすめです。
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