相続税は税務調査の対象になりやすい
相続税の申告・納税をすると、その次の年から大体3年後くらいまでに高確率で「税務調査」というイベントがやってきます。
日本の税金は、自己申告制です。
簡単にいうと、「私はこれだけ儲けたので、これだけ納税しますね」と自分で計算して申告と納税するシステムになっています。
税金のシステムはとても複雑なので、ていねいに申告しているつもりでもミスしてしまっていたり、自分に納税が必要だと知らずに申告をしていなかったりする人が少なくありません。
いろいろあって適切な金額より少なく納税している場合、どこかで帳尻を合わせなければなりませんよね。
そこで、相続税の申告内容がちょっと怪しい人を見つけると、税務署は税金の専門家を送って調査を行い、正しい納税額になるよう追加徴税を行うのです。
最初の期限で正しく申告と納税しているべきところを間違って申告しているため、「申告が遅れていること」「内容にミスがあること」に対するペナルティとしてかなり税金を支払うはめになってしまいます。
金額のスケールは違いますが、レンタルDVDの返却日を過ぎると延滞料が発生するようなものです。
遺産相続の金額が数千万、数億になってくると、冗談ではなく追加徴税で破産なんてこともあり得ます。
真剣に申告をするためにも、税務調査のリスクを知っておきましょう。
税務調査が来ると、高確率で追加徴税されてしまう!
「そんなこといったって、お役人の人も忙しいんだから税務調査なんて滅多に来ないんじゃないの?」
と思っている方もいますよね。そこで、実際どのくらいの割合で税務調査が来るのか、ざっくり数字で考えてみます。
国税庁が公表している資料によると、平成25年に行われた税務調査の回数はおよそ1万2000件。
平成25年の税務調査は、平成23年と24年に行われた相続税の申告を中心に行われています。2年間で行われた相続税の申告件数は、平均して5万2000件程度です。
5万件ちょっとの申告に対して、1万件ちょっと調査が入っている計算になるので、おおよそ「相続税の申告をすると25%の確率で税務調査を受ける」という結果になります。
しかも、1万2000件行われた税務調査のうち、「相続税が過少申告だった」と判断されたのは9800件となっています。
税務調査が来た時点で、8割くらいの確率で追加徴税される、ということです。
ついでにいうと、相続額が大きければ大きいほど税務署も厳しく調査をする(もとの金額が大きいと、追加徴税で取れる金額も高額になる)ので、たくさん相続する人ほど税務調査は身近なものとなります。
税務調査ってどんな感じで行われるの?
税務調査が恐ろしいのは、「もし自分のところに調査が来たら、高確率で追加徴税を取られてしまうから」「どんなことをするのかわからないから」ですよね。
そこで、簡単に税務調査の流れを説明していきます。
税務調査では、ある日突然家に税務署の人が押しかけてくる、ということはまずありません。
よっぽど悪質な脱税をしていれば話は別ですが、基本的に事前連絡があります。「○日にお伺いする予定ですが、大丈夫ですか?」といった感じです。
税務調査の当日になると、調査をする人が訪ねてきます。
申告していない財産はないか、申告内容に不審なところがあるのだがどういうことなのか、ものすごく細かく調査をされます。
税務調査が来るということは、その時点で「この人の申告は怪しい」と思っているということです。
本人の収入や相続財産から考えると妙に金遣いが荒い、税務署が調べた故人の財産を考えるとやけに申告額が低いなどなど、ある程度あたりをつけて来ているので、言い逃れはできません。
とはいえ、ちょっとしたミスや勘違いによる申告間違いがほとんどです。
適切な納税をしてくださいねと注意をされて、後日足りないぶんの納税を行えば終了です。
税務調査が来ても良いように、確実な申告と納税を心がけよう
相続税の申告で一番良いのは、「たとえ税務調査が来ても絶対に問題ないと確信できるくらい、完璧な申告と納税をする」ことです。
相続税の申告や納税は計算も制度も難しいので、一人で完璧を目指すのはおすすめできません。
人間なので、どんなに気をつけていてもミスをしてしまうことはあるからです。
確実なのは、相続の専門家である税理士を頼ることです。
実務経験と専門知識を持つ税理士にお願いすれば、ケアレスミスは防げます。ついでに、税務調査の立ち会いだって頼めます。
あなたの代わりに説明や質問への受け答えをしてもらえるので、税務調査が入っても落ち着いて対応できること間違いなしです。
一定額以上の相続をするなら、申告は避けられない手続きです。
せっかくですから、完璧な申告を目指しましょう!
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