不動産での節税対策は複数併用することを前提に

不動産に手をつけずに節税するのは至難の技!

「生前に不動産の節税対策をしないと、相続税がたくさんかかる!」

なんていわれたら、節税対策にも興味が湧いてきませんか?

2015年の1月1日から税制の大幅な改正が行われ、これまでより多くの人たちが相続税を支払わなければならなくなって来ています。

さて、ここで一つお聞きしましょう。

「相続税の節税対策を教えてください」といわれたとき、あなたならどんな方法を思い浮かべますか?

相続税の節税対策といわれて真っ先に思い浮かぶのは、「現金を生前に贈与する」方法ですよね。

例えば、年間110万円までの贈与であれば、贈与税も相続税もかけずに好きな相手に財産を渡せます。

1年では110万円でも、10年間つづければ1100万円。かなりの金額です。

ただ残念なことに、お持ちの不動産に手をつけずに現金を多少贈与したところで、節税効果は小さなものでしかないのです。

「相続税がかかるくらいの財産を持っている人」を考えたとき、自分の財産すべてが現金だ! という人はまずいません。

大抵の場合、現金以外にも家やマンション、駐車場、土地などのいわゆる「不動産」を持っていて、その総額が何千万円、何億円という金額になっているわけです。

相続税はあなたが持っている財産の総額に対してかかる税金です。

財産の大部分を占め、一つ一つが高額で、そして相続人同士できれいに分割するのが難しい不動産をいかに生前に整理しておくのかが、節税対策の一つの柱なのです。

そんなわけで、今回は生前にできる不動産の節税対策についてお話をしていきます。

生前の節税対策は2種類しかない!

節税対策を大きくわけると、

  • 生前にできる節税対策
  • 故人が亡くなってからできる節税対策

となります。

故人が亡くなってからできる節税対策としては、申告のときに使える「小規模宅地等の特例」や「不動産の鑑定」「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」などがありますが、今回これは置いておきましょう。

故人が亡くなってからできる節税対策も効果は大きいですし、とても便利ですが、生前にできる節税対策を重視したほうがより大きく節税できるからです。

生前にしっかり節税対策をしておいて、そのうえで故人が亡くなってからできる節税対策を組み合わせる。そうすれば、相続財産が数億円の人でも相続税額を0円にできる可能性があるくらいです。

生前にできる節税対策は、以下の2種類です。

  1. 生前に贈与してしまう方法
  2. 積極的に現金や不動産を活用する方法

①生前に贈与してしまう方法

生前贈与なら、あなたの意思で不動産も現金も好きに贈与することができます。

とくに、配偶者に対しては贈与の特例も用意されていて、たくさん贈与することができるのでとてもお得です。

将来の相続を見越して子供や孫、介護をしてくれた子供の配偶者などに贈与をしておくのも一つの手ですね。

この方法の利点は、「不動産をそのまま渡すこともできる」ことです。

無理に先祖代々の土地など不動産を売ったり買ったり組み替えたりしなくても、贈与だけで大幅に節税できるケースはたくさんあります。

ただし、贈与する金額によって贈与税がかかるので、注意が必要です。

②積極的に現金や不動産を活用する方法

一方で、あなたが生きているうちに積極的に不動産の活用を考える、というのも節税として効果的です。

例えば、

「いらない土地、使っていない駐車場を手放して賃貸物件を手に入れる」

「不動産を処分した現金で、子供や配偶者が相続する家を大幅に改築する」

「現金をつかって不動産を購入し、相続財産の総額が少なくなるようにする」

「小さな土地がたくさんあるので、広大地評価ができるひとまとまりの大きな土地に組み替える」

などですね。

基本的に、財産は現金で持っているよりも建物や土地などの不動産に組み替えたほうが評価額が安くなります。

賃貸マンションなどの収益性がある不動産なら、評価額を低くしつつ今後の現金収入も手に入ります。

相続人の仲が悪くてトラブルになりそうなときは、使いづらい不動産を処分して公平に相続できるよう、不動産の数や価額を合わせておく、なんてことも可能です。

不動産の節税は、複数の対策を併用することを前提に考えよう!

不動産は、家一棟で1000万円、土地をまとめて2億円など、評価額がとても大きくなりやすい財産です。

だからこそ、「効果のある節税対策を、最適な形で、できるだけたくさん適用」できるように計画を練りましょう。

相続税の節税は複雑な問題です。

ものすごく効果の大きな節税対策を一つ使ったくらいでは、そんなに相続税は安くなりません。

生前からしっかり対策をして、相続税を節税しましょう!