生前贈与で節税効果が高いのは現金か?土地か?

生前贈与をするなら、現金よりも土地の贈与が効果的!

生前贈与による節税を考えているあなた、突然ですが、ちょっと考えてみてください。

あなたの手元に、現金1000万円があるとします。

家や車なども持っており、このままだと将来相続税がかかってしまうので、節税のために手元にある1000万円を子供に贈与することにしました。

では、問題です。

「現金1000万円」を贈与するのと、「現金1000万円を使って購入した土地」を贈与するのでは、一体どちらのほうが節税になるでしょうか?

答えは、節税を考えて贈与をするなら、「現金よりも不動産のほうが、圧倒的にお得」なのです!

現金よりも土地を贈与したほうが節税になる理由

現金1000万円の価値はいくら? と聞かれて、「この現金1000万円の価値は900万円だね」なんていう人はいませんよね。

インフレやデフレはあるものの、現金の価値というのは基本的に一定です。1000万円の現金が1500万円の価値になる、なんてことはまずありません。

一方で、土地の価値、評価額は「路線価」や「固定資産税評価額」によって決まります。

細かいことを省いていうと、どちらも時価や購入額より低い金額になるのです。

現金とは違って、「1000万円で購入した土地の価値が700万円」になるのが土地の価値計算です。

単純に現金1000万円を贈与するよりも、「現金1000万円ぶんの価値がある土地を、実質700万円で」贈与するほうが節税になるため、現金よりも土地のほうが贈与に向いているのです。

住宅購入のための現金よりも、住宅そのものを贈与するほうがお得

現金よりも土地、不動産で贈与をしたほうが評価額が下がり、お得に節税できるのが贈与の基本です。

同じように、「あなたの子供が家を建てようと考えていて、その援助をしたい」場合、現金をぽんと渡すより、あなたが住宅を購入して、その住宅を贈与したほうがお得になります。

どのくらいお得になるのかというと、東京など地価がべらぼうに高い場所であれば、「8000万円で購入した住宅が、4000万円の評価額に」なんてことがありえるくらいです。

どちらがよりお得なのか、いうまでもありませんよね。

価値の変動する不動産は「相続時課税精算制度」でお得に贈与しよう

評価額が時価よりも低くなることがあるということは、逆にいまよりもっと価値があがる場合もあるということです。

例えば、安く購入した郊外の土地があるとします。

買った時は良いものの、駅前からのアクセスが悪かったので放っておいたら、駅前からの道路が整備され、いつの間にか「オシャレな住宅が建ち並ぶ、周辺住民あこがれの閑静な高級住宅街」になってしまった。

こうなると、土地の価額は大幅にアップします。

この土地を、まだ開発が始まっておらず価値が低いときに贈与できていたら、将来地価があがってから相続させるより節税になるのです。

そんなことが可能なのが、「相続時課税精算制度」です。

相続時課税精算制度は贈与のやり方の一つで、簡単にいうと「安いときに贈与しておいて、相続のときになったら安いときの評価額で相続税の計算をする」という方法です。

最大で2500万円まで非課税で贈与できるので、「2500万円で購入した土地を、評価額1800万円で贈与」しておく。

相続のときには地価が1億円まであがっていて、評価額も7000万円くらいになっているけれど、「相続時課税精算制度を利用しているので、1800万円に対する相続税だけで良い」となります。

うまく利用できれば節税効果も大きいですが、相続時課税精算制度を利用するにあたって土地の価値を吟味したり、贈与のタイミングを見極める知識が必要です。

税理士や不動産鑑定士などに相談をして、計画的に利用しないと失敗してしまうこともあるので、慎重に利用しましょう。

賃貸物件の贈与で複数の税がお得に!?

不動産の贈与の一例として、「賃貸物件の贈与」があります。

賃貸物件を贈与した場合、大幅な節税に成功する可能性が高いのです。

どういう効果が期待できるか、さくっと見てみましょう。

たとえば、あなたが持っている4000万円の賃貸物件を奥さんに贈与すると、

  • あなたの相続財産が4000万円減り、相続税の総額が安くなる
  • あなたが手に入れるはずだった家賃収入がなくなり、そのぶん相続財産が増えない=将来の相続税も増えない
  • あなたの家賃収入が減る=あなたの所得税が減る
  • 奥さんは家賃収入を手に入れることができる(将来の納税資金にしたりできる)

といった具合に、相続税のみならず、所得税なども効率良く節税できてしまいます。

相続時課税精算制度を利用したり、現金で賃貸物件を購入してから贈与すれば、一層効果的です。

生前贈与にはさまざまな活用法があります。

どういう贈与をするとお得なのか、しっかり見極めていきましょう。