自分が住まない家を相続するなら、処分して資産を組み替えよう!
現金よりも住宅のほうが節税に向いています。
とくに、賃貸用の物件や自宅の場合、相続のさい大幅に評価減をしてお得に節税できます。
ですが、いくら安く相続することができるといっても、「相続したは良いけれど、別のところに住んでいるし仕事もあるので、放置してしまう」なんてケースも考えられますよね。
利用しない不動産を持っていると、固定資産税などが負担になるのは自宅や実家でも同じこと。
よほどの資産家でもない限り、自分の家は1つで十分です。
もしあなたが住まない家を相続してしまったら、より節税や収入の糧になる資産に組み替えることを考えてみてはいかがでしょう。
今回は「親から相続した家を使わないので、売って賃貸物件を購入する」という事例を使って、資産の組み替えのメリットを紹介していきます。
親から相続した実家を売って、賃貸マンションを購入することにした林さん
林さんは、父親から実家と預貯金を相続しました。母親は離婚をしていましたし、兄弟姉妹もいなかったので相続人は林さん1人です。
父親には介護が必要だったので、晩年老人ホームを利用しています。当然、実家には誰も住んでいない状態で、林さん自身は地元から離れたべつの場所で賃貸アパートを借り、仕事をしています。
相続に合わせて父の残した家に戻ることも考えましたが、会社で昇進の話が出ていること、現在結婚を前提に付き合っている彼女がいることから、今後実家に住むことはないと判断しました。
このままでは、毎年実家の固定資産税だけがかかってしまいます。
住まない家を放置しておくと不審火や空き巣などのリスクもあると聞きますし、得することもありません。
将来的に子供ができたときに相続をさせるとしても、朽ちた家では意味がない。そこで、林さんは実家を処分することにしました。
自宅を取り壊して賃貸住宅を建てるか、家を売るか、どちらが得か考える
林さんが最初に考えたのは、「築40年の自宅を取り壊し、新しく賃貸物件を建てること」です。
ですが、実家があるのは昔ながらの住宅街。広さはありますが、まさか住宅街のどまんなかに5階建てのマンションを建てるわけにもいきません。
もともと一戸建てに向いた立地ですし、周辺に単身者も住んでおらず、家を取り壊すコスト、賃貸を建てるコストと家賃収入を比べると、どうも儲かりそうでもありません。
家を取り壊すと土地の固定資産税があがってしまいますから、建物だけ壊して置いておくというのも避けたいところ。最終的に、「老朽化した自宅を取り壊してから、建売住宅向けの土地として売却」することにしました。
住宅街のなかでも大通りに面しており、車の出入りもしやすく好条件の土地だったので、土地はすぐに売れました。林さんの手元には、実家を売った代金「6000万円」が入ります。
賃貸マンションは、複数購入することでリスクを分散しよう!
まとまった現金が手に入ったため、賃貸物件への組み替えを考えます。
賃貸物件を購入するとき、林さんには3つの選択肢があります。
- マンションを丸ごと一棟買う
- マンションを一戸ずつ複数購入する
- 高級マンションを一戸購入する
ようするに、「購入する賃貸物件は1つが良いのか、複数が良いのか」どちらが得なのかという問題です。
答えは状況によって変わりますが、できれば「都心にあるような、立地条件の良いマンションを一戸ずつ複数購入」することを選びましょう。
どうしてかというと、「賃貸はいくつか購入したほうがリスク分散になる」からです。
賃貸物件を購入して運用をする場合、常にいくつかのリスクを想定しておかなければなりません。
人気がなくて借り手が現れず、収入にならないリスク。火災や地震のリスク。築年数の経過による老朽化のリスクなどです。
マンションの一棟買いや高級マンションの購入に予算をすべてつぎ込むのも魅力的ですが、もしなにかあったら不動産と家賃収入の両方を失ってしまいます。
安定した家賃収入があれば生活は安定するので、リスク分散のために賃貸は複数購入したほうが良いのです。
長期的な家賃収入で財産を増やし、余裕ができたらもっと収益性の高い不動産に組み替えたり、新たに現金を使って投資を行ったりすると良いでしょう。
ちなみに、高級マンションを購入するなら自宅として購入し、「小規模宅地等の特例」で一気に評価減して相続させるほうがお得です。
結果として、林さんの場合、
- 自分では住まない家と、今後納めるはずだった固定資産税を手放し
- 複数の賃貸物件から毎月安定した家賃収入を得る
ことに成功しました。
居住用住宅から賃貸住宅への組み替えなので、評価額も抑えられて節税にもなっています。
不動産の組み替えは大きなお金が動きます。
無理をせず慎重に、ローリスクに進めていきましょう。
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