所得税の節税対策|同族会社を設立して所得の分散を

不動産収入が多い人の節税対策の秘訣は、会社の設立にあった!

「あちこちで賃貸物件を経営していて、年間の不動産収入がかなりある」

というあなた、もしくは、そういう人からの相続を将来に控えているというあなたには、不動産管理会社の設立をおすすめします。

会社をつくるとどうして節税になるのか? については「賃貸経営で節税に成功したら次ステップは「不動産管理会社の設立」」をご参照ください。

ここでは、実際にどんなケースで会社をつくると節税になるのか、ちょっと紹介していきます。

叔母からの相続に備えて不動産管理会社をつくり、所得の分散をした水上さんの事例

水上さんの両親は幼い頃に事故で他界しており、それ以来水上さんの面倒は母親の姉である叔母さんが見てくれており、大変な恩義を感じています。

近所に住んでいることもあってなにかと様子を見にいったり、奥さんや2人の子供を連れて遊びに行ったりしていましたが、叔母さんは体調を崩してしまいました。

看護や病院の手配、体調が回復するまでの同居などをしていた水上さんでしたが、そんなある日、叔母さんから「私の持っている財産は、あなたに遺贈するよう遺言書をつくっている」と告げられました。

叔母さんには子供がおらず、親兄弟もすでに亡くなっており、水上さん一人が財産のすべてを相続することになります。

ただ、叔母さんは現在でも年間で2500万円もの不動産収入を得ているため、今後の相続税は莫大です。

そこで水上さんは、「自分が代表として不動産管理会社を立ち上げ、叔母さんの賃貸不動産の管理を委託してもらう」ことにしました。

不動産管理会社を設立して、所得の分散をする

叔母さんが所有している賃貸物件は、家賃の85%である2150万円を支払って水上さんの会社で借り上げてしまいます。

この時点で所得の分散と所得税の節税に成功です。

不動産会社に賃貸物件を貸すことで、叔母さんの家賃収入は15%ぶん減りますよね。所得が少なくなれば、そのぶん所得税もさがります。

ざっくりと計算すると、家賃収入が15%減ると、叔母さんの所得税額はだいたい「720万円から580万円へ、140万円の節税」になります。

さらに家賃収入が減ると、将来水上さんが財産を相続するときの課税総額が減るので、間接的に相続税も節税できるというわけです。

会社の売上を上手に調整して節税

同族会社の良いところは、「取引先からいきなり契約を切られてしまう」などのリスクが低いことです。

ちょっと複雑ですが、例えば今回水上さんの会社は、年間375万円の売上をあげることになりますよね。

もともとの年収が600万円だったとすると、極端な話、水上さんが年収225万円の仕事に転職しても生活レベルは変えずに生活していけます。

ただ会社の売上をそのまますべて水上さんが貰ってしまうと、今度は水上さん自身の所得税があがってしまいます。

そんなときは奥さんを会社の役員にして仕事を手伝ってもらい、利益の半分ずつをわけあう、というのも一つの手です。会社の売上が上がったときなども、給与や役員報酬を支払うことで節税ができます。

ちなみに、相続税の話からは少し離れてしまいますが、「たくさん稼いで節税をする」場合、個人でやるよりも会社をつくったほうがより多くの節税対策を利用できます。会社経営をするなら長期的に節税を考えたほうがお得ですから、いくつか紹介してみましょう。

不動産管理会社をつくると、こんな節税対策も可能に!

会社を設立した場合、たとえ赤字になってしまっても一定の税金を納めなければならないというデメリットがあります。

小難しい書類とにらめっこをして行う決算だって必要ですし、顧問税理士を雇う必要も出てくるでしょう。

管理する賃貸物件の数が多いと、住民トラブルの解決など面倒になる場合もあります。

しかし、さまざまな方面での節税方法が利用できるようになります。

  • 「不動産管理会社」として必要な支出(給与も経費の一種)は経費として売上から差し引けるので、売上が少なくなるように事業にお金を使っていると節税になる
  • 手が足りなくなった場合、親族を雇う、アルバイトを雇う、外注をするなどして経費を増やして売上を減らして節税することも
  • 小規模企業共済に加入すれば、年間で最大84万円の控除を利用できる
  • 経営セーフティ共済に加入すると、年間最大240万円まで控除できる
  • 役員の生命保険の掛け金も控除になる

などなど、複数の節税対策を積み重ねることによって、法人税、所得税の両方を節税できます。

会社をつくるには、最低でも20万円から25万円程度の費用がかかります。

ですが、例えば資本金も含めて叔母さんに現金を生前贈与してもらい、課税財産を減らしつつ会社を設立する、といった合わせ技だってつかえます。

安定した収入を得るために、各種の税金を安くするために、同族会社の設立を考えてみてはいかがでしょうか。