相続税対策の基本

相続税対策の基本

相続税対策において一番大切なのは節税のためになにをするか、ではありません。

もちろん節税も大切ですが、節税を意識する前に「被相続人と相続人全員で集まって、しっかり話し合っておく」ことがなによりも大切なのです。

遺産の総額はどれくらいになりそうなのか。相続人は何人いて、誰がなにを欲しがっているのか。遺言はあるのか、遺言があるとしてもどのように遺産を分け合うのか。遺産に対して発生する相続税はどうやって支払うのか。

これらのことを生前から被相続人と相続人全員で話し合っておかないと、相続するときに高い確率で揉めてしまいます。

被相続人だけで節税対策をしていても、それを知らなかった相続人の誰かが「自分の手元に来る遺産が少ないのは不公平だ!」と言い始めたらもう泥沼のはじまりなのです。

適切な節税をし、相続人にできるだけ負担をかけずに相続を行うためには、全員での話し合いが不可欠なのです。そのうえで行うのが、これから説明する相続税の節税対策です。

どうやって話し合いの場をもつか

遺産相続は、平たくいうとお金の話です。お金の話を面と向かって他人とする機会って、あまりないですよね。

お金の話はきれいなものに感じないというか、謙遜や謙虚さが美徳とされる日本の文化的に、「生きている内から遺産の話はどうもなあ……」という感じてしまう人も多いです。

しかし、相続税が改正されたことによって、これまでより広い範囲の人たちが相続税を納めなければならないことは避けられない事実です。

あなたが相続税として国に納めるお金は、あなたの両親ががんばって貯めた財産、両親の両親が受け継いできた大切な資産から支払われます。

子供に残したいと30年のローンを組んで建てた家、自分が亡くなったあと残される奥さんや旦那さん、子供の生活が苦しくないように積み立てていた貯金や保険金、先祖代々守ってきた地元の土地。

話し合いをせずに出たとこ勝負で相続をするということは、これらの財産が少なからずなくなってしまうということです。

誰だって自分の財産、子供や家族に残す財産は大切ですよね。

大切な家族の遺産を、できるだけ本人の意思に添った形で受け継ぎたいと穏やかに伝えられれば、遺産相続の話し合いにも取り組みやすいのではないでしょうか。

話し合いの目標として、遺産分割協議書を作ってみよう

相続税対策をするために相続人同士で話し合う。なんだか、いかにもおかたい空気での話し合いになりそうですよね。

残念なことに、きちんとゴールを決めずにとりあえずで相続の話し合いを始めてしまうと、多くの場合時間ばかりかかっていつまでも結論が出せません。

そこでおすすめしたいのが、遺産分割協議書を作ることです。

試しに、友人とファストフードのお店に集まって、オレンジジュースをすすりながらだらだら旅行の計画を話し合っているところを思い浮かべてみてください。

すでに飛行機のチケットを取っていて明日出発する! ということでもない限り、会話のほとんどは、どうでもいい雑談になっているのではないでしょうか?

話し合いに参加する人数が多ければ多いほど意見はばらつきますし、話も横道にそれやすくなります。

スムーズに話し合って結論を出すためには、共通した目的意識、つまりゴールが必要なのです。

最初から「この話し合いの結果で遺産分割協議書を作るぞ!」というゴール決めておけば意見も出しやすいですし、短時間で濃い話し合いができます。

最後に

相続税の対策では、まず話し合って情報を共有し、相続に関するトラブルが起きないように合意しておくこと。その上で相続税をきちんと納税できるように節税をし、財産を残すことを意識しましょう。

どんなことを話せばいいのかわからない! 絶対に揉めるから話し合いなんてしたくない! そんなときは、遠慮なく相続のプロである税理士や弁護士を頼ってください。

必要な知識と準備を蓄えて、きたるべき遺産相続に備えましょう!