相続税対策|2つの考え方と具体的な手段

相続税対策をはじめよう

「相続税の対策なんて、相続するときに考えたらいいんじゃないの?」

節約ならともかく、普段から節税を気にして生活している人はなかなかいませんよね。

大抵の場合税金なんて必要になったときに考えれば良いや、と思っているものです。

しかし、こと相続税に関してだけは、早めに節税を意識しておいて欲しいのです。

どうしてかというと、節税には時間や手間、適切な手続きが必要になることが多いからです。

相続税を安くするための対策には、思いついたときにぱっとできるものもあれば、10年単位で活用することで大きな効果を発揮するもの、一生に一度しか使えないものもあります。

故人が生きてきている間しか相続税対策はできないので、どんな対策があるのか早めに知っておいて損をすることはありません。

今回は、相続税対策に必要な2つの考え方をお伝えしつつ、節税に使える具体的な手段を紹介していきます。

相続税対策に必要な2つの考え方

相続税は、故人が持っていた財産の価値の総額に対してかかります。

現金はそのままの価値ですが、住宅や賃貸マンション、土地などは規模や固定資産税に応じた評価額で計算されます。

要するに、故人がなくなったとき、

  • 現金がたくさんある
  • 評価額の高い資産(不動産や土地)をたくさん持っている

と、相続税がたくさんかかるわけですね。

相続税を節税するためには、どうにかして遺産総額を減らす必要があります。

節税の方法としては、

  • 財産を減らす
  • 財産の評価額を減らす

のどちらかです。

財産を減らそう

節税として最も簡単なのは現金を減らすこと、つまり被相続人が生前に相続人に贈与してしまう方法です。

一人あたり110万円までの贈与は、贈与税がかかりません1年では110万円ですが、5年続けて贈与すれば550万円、10年で1100万円非課税で財産を渡せます。これを暦年贈与といいます。

ただし、贈与の方法によっては暦年贈与と認められず、多額の税金がかかってしまいます。

生前贈与を活用するためには、きちんと毎年、誰にいくらどうやって贈与するのかを記した契約書を作ります。そのうえで贈与を受ける人の銀行口座に振り込むのが確実です。

他にも、期間は限定されているものの、1500万円までなら教育資金を子供や孫に贈与しても非課税になる「教育資金の一括贈与」。

暦年贈与と併用できないものの、お金を渡したときは非課税で、後から相続するときに相続税を支払えばいいという「相続時精算課税制度」。

住むための家か家を購入する資金として奥さんや旦那さんにのみ非課税で2000万円渡すことのできる「贈与税の配偶者控除の特例」などを使えば、生前に大きな金額を贈与できます。

財産の評価額を減らそう

相続税の節税対策として使えるもう一つの方法は、「できるかぎり財産の評価額を下げる」というやり方です。

相続をするとき、土地や建物は評価額というものを算出します。5000万円の土地、2000万円のビル、といったふうに値付けをして税金を計算するわけです。

土地や建物の評価額が下がれば当然相続税も安くなります。

例えば、小規模宅地等の特例といって、自宅を二世帯住宅にすることで一定の面積分の評価額を8割引きにできる制度があります。

二世帯住宅にしなくても、自宅をリフォームして賃貸物件にしたほうが評価額は低くなります。

土地が広い、たくさんあるという場合は土地を分割したり、賃貸用のマンションや家などを建ててしまったりするのも一つの手です。

現金がたくさんあって生前贈与では多額の相続税がかかるという場合は、土地や建物といった不動産を購入するのも効果的です。

ただ、節税にこだわり過ぎるのも問題です。節税することだけを考えて現金を使い果たしてしまったので結果相続税の納税ができない、なんてことになっては本末転倒です。

遺言を残すことも十分な節税対策になる

実は、故人が遺言書を残しておくことも立派な節税対策です。

遺言書があると、遺産をどのように分け合うのか故人が決めてしまえるので、誰がなにを相続するかでトラブルになりません。

遺産相続は金額が大きいので、ただの話し合いで済まずに裁判に発展することもあります。

遺言書を残すだけで、相続人同士で争うために弁護士を雇うお金や、何度も話し合って争う時間、争いによって分割される財産そのものを節約できるというわけです。