相続税の小規模宅地等の特例って?相続税制の改正ポイント

小規模宅地等の特例があれば住宅を安く相続できる!

あなたの親は、どういった資産を持っていますか?

一般的に考えて、自分たちの親世代が持っている財産にはどのようなものがあるか、を一度考えてみてください。

現金資産。貯蓄の額は人によって違いますよね。

株などの有価証券を持っているかも人それぞれです。生命保険だってかけている人とかけていない人で違いがあります。

年金は相続することができないので別として、やはり、最も一般的な相続財産は「家」「住宅」になるでしょう。実家で商売をしているという場合は、その店舗も相続財産になりますよね。

ただ、生活に必要な不動産、家業に必要な不動産からたんまり相続税を取ってしまうと、住む家を失う危険性があります。

そこで、故人の住宅や仕事用の店舗などからは、あまり相続税を取り過ぎないようにしようという制度、「小規模宅地等の特例」が用意されています。

小規模宅地等の特例を使うと、よほど大きな家、広々とした家でない限り、自宅の相続に相続税はほとんどかかりません。

2015年の法改正に伴って「小規模宅地等の特例」も内容が変更され、パワーアップしています。この機会に、変更点をしっかりチェックしていきましょう。

法改正で、上限面積が240㎡→330㎡に増える

小規模宅地等の特例では、「住宅、居住用の建物」と「ビジネス用途の建物(店舗など)」を持っている場合、「一定の面積分不動産の評価額を8割引き」にすることができます。

この一定の面積が、改正以前の「住宅」だと240㎡だったのですが、2015年の改正で、90㎡増やされています。

つまり、330㎡分も住宅の相続税を安くできるようになったのです。

一戸建ては40坪、マンションなら70㎡

330㎡ってどのくらいの広さなのか? 気になりますよね。

データはいろいろありますが、日本の平均的な一戸建てが大体40坪くらいです。延べ床面積でいうと、130㎡から140㎡といったところですね。

マンションでいうと、もちろん物件によって広さはさまざまですが、3LDKで5畳程度の個室があって、大体70㎡くらいです。

現実的に考えると、330㎡もの面積を持つ家を建てるのは、結構大変です。

少なくとも、東京都内では山ほどお金がないと難しいです。ただ、地価の安い土地で大きめの一戸建てを持っている人などは、330㎡をはみ出てしまう場合もありますし、小規模宅地等の特例の上限面積が増えて損をすることはありません。

なお、住宅と店舗のどちらも所有している場合、小規模宅地等の特例を使って、「住宅と店舗合わせて最大730㎡まで8割引き」が認められるので、店を構えて商売をしている人には嬉しい改正となっています。

二世帯住宅の条件が緩和される!

小規模宅地等の特例は、「二世帯住宅」にも適用できるようになっています。

改正されるまで、二世帯住宅と認められる条件は結構厳しく決められていました。

一つの住宅のなかを、世帯ごとの生活スペースで区切れば二世帯住宅になるわけではなく、「建物のなかに内階段やドアがあり、世帯の間を直接行き来することができる」ことが条件だったのです。

嫁姑問題が激化してしまいそうな条件ですが、今回の改正でここも少し緩和されています。

ずばり、「内階段や世帯間を行き来するためのドアがなくても可」になったのです。

例えば、2階建ての住宅があったとして、1階部分は親世帯、2階部分は息子世帯が住んでいるとします。

従来であれば住宅内で行き来できるようにする必要がありましたが、改正によって「外階段のみ」でも二世帯住宅とみなされます。

内階段やドアを作っていなかったために小規模宅地等の特例が使えなかった人たちにとって、かなり大きなニュースです。

より使いやすくなった小規模宅地等の特例を使ってみては?

2015年に施行されている法改正で、相続税の基礎控除が減って憂鬱な気分になっている人もいるでしょう。

ですが、「小規模宅地等の特例」のように、上限面積が広くなり、二世帯住宅の条件が緩和され、改正によって大幅に使いやすくなっている制度があるのもまた事実なのです。

相続をするなら、使える制度はどんどん使っていくべきです。

今のうちから小規模宅地等の特例を利用することを考えて、相続税対策をはじめてみてはいかがでしょうか?