相続税の小規模宅地等の特例って?相続税制の改正ポイント

自宅や店舗商店はよりお得に相続できるようになった!

法改正は、相続税そのものや相続税への対策に大きな影響を与えています。

「知らなかった」「そんな制度があったなんて!」なんて具合に損をしてしまうのはもったいないですよね。

今回は、「自宅や店舗商店などを相続するときに使える相続税対策=小規模宅地等の特例」をお伝えしていきます。

小規模宅地等の特例は、自宅や店舗商店を相続するときに「規定の面積240㎡までなら評価額を2割にできる」という極めて効果の大きな相続税対策です。

効果がものすごく大きいこと、そして多くの人が持っている自宅や家業のための店舗をお得に相続できることから、相続税対策のなかでもとくによく知られている制度です。

この制度、じつは今回の法改正によって、ますます使いやすくなり、節税効果もアップしています!

小規模宅地等の特例の改正ポイント

小規模宅地等の特例の改正ポイントは、3点です。

  • 適用面積が広くなる
  • 自宅と店舗の完全併用が可能に!
  • 二世帯住宅の条件が緩和される

どの改正も高い効果を持っているので、ちょっと説明してみましょう。

適用面積が広くなる

事業用のほうも含めると考えがややこしくなるので、自宅(居住用宅地)に絞って考えます。

従来の特例では、「住宅面積の240㎡を上限として、評価額を2割にすることができる」というものでした。これが、改正によってプラス90㎡、つまり最大で330㎡まで適用面積が広くなっているのです。

試しに、「土地建物あわせて330㎡の自宅、評価額は5000万円」の場合を考えてみましょう。

自宅の評価額は、「特例の使用で2割になった部分+割り引きがされない上限範囲をはみ出した部分の評価額」で求めます。

改正まえだと、

(5000万円×240㎡÷330㎡×0.2)+(5000万円×90㎡÷330㎡)=およそ2090万円

となります。

改正後は適用面積が90㎡広くなり、330㎡の自宅の全てに特例が使えるので、

5000万円×0.2=1000万円

となるわけです。

自宅の評価額は、大体半分になっています。ここから相続税率をかけたりして相続税額を計算するわけですから、とても大きな節税効果を持っていることがわかりますね。

自宅と店舗の完全併用が可能に!

「1階は店で、2階に家族で住んでいる」

「家からちょっと離れたところに、店を持っている」

こういった場合、自宅にも商売用の店舗にも小規模宅地等の特例を適用して節税することができます。

ただ、法改正がされるまでは、「自宅と店舗あわせて400㎡まで」しか適用ができませんでした。これが、「居住用の330㎡+事業用の400㎡」=730㎡まで適用できるようになっています。

完全に併用ができるので、自宅も店舗もどちらもかなり節税しながら相続できるようになっています。

二世帯住宅の条件が緩和される

故人の相続財産として、小規模宅地等の特例を使って自宅を相続するのは、じつは結構大変です。

亡くなる直前まで故人が住んでいる、相続人が住んでいるなど、いくつもの条件を満たして初めて利用できる制度なのです。

とくに、二世帯住宅に関しては条件が厳しく、「二世帯住宅とは内階段などで建物内でお互いの居住スペースを行き来できること」が最低限の条件になっていたのです。

同じ建物ではあるけれど、外階段しかなく完全に居住スペースが独立している場合、二世帯住宅と認められず、小規模宅地等の特例が使えませんでした。

今回の法改正によって、「外階段のみの二世帯住宅もアリ」と大幅に条件が優しくなっています。

小規模宅地等の特例を適用するために慌てて家を改築する、なんて必要がなくなったので、とても良い変更です。

使い勝手が増しているので、使わないと損!

小規模宅地等の特例は、適用できれば評価額の8割減、と節税効果がものすごく大きな対策として知られています。

改正によって特例の使い勝手が良くなっているので、これまで利用できなかった人も特例を使えるようになっているのです。

使える制度は使わないと損にきまっています。この機会に、ぜひ一度小規模宅地等の特例について調べ、お得に自宅や店舗を相続できるようにしてはいかがでしょう。