相続税対策でおトクなのはどっち?遺産相続vs生前贈与

遺産相続と生前贈与、どっちのほうがよりお得?

「相続税が高くなったの!? それなら、生きている間に贈与したほうが得なんじゃない?」

2015年の元旦から施行されている相続関係の法改正のことを聞いて、こんなふうに考える人はどれくらいいると思いますか?

「自分の財産を他人(家族含む)に渡す」手段は、遺産相続か生前贈与のどちらかしかありません。

少しでもお得に、損をせず好きな人にあなたの財産を渡すためには、相続と贈与のどちらがよりお得なのかを知っておいたほうが良いのです。

法改正では主に相続税関係のシステムが変更されていますが、贈与税の部分にも多くの変更が加えられています。

結論からいうと、「相続の代わりに生前贈与で財産を全て渡してしまう」のはお得ではありません。

正しく税金への対策をするために、贈与税減税について説明していきます。

法改正で相続税が高くなったかわりに、贈与税は引き下げに!?

今回の法改正で、相続税は基本的に上がっています。最高税率は55%になりました。

しかし一方で、贈与税は少し減税されているのです。

もともと、贈与税は1000万円を越えたときに最高税率50%がかかっていました。

贈与税関連の変更点として、この金額区分に1000万円から1500万円の場合、3000万円以下の場合、3000万円を越えるか場合、が追加されているのです。

変更点をまとめると、

  • 1000万円~1500万円以下の贈与は税率45%(改正まえより5%引き下げ!)
  • 3000万円以上の贈与は税理と55%(改正まえより5%アップ!)

というふうになっています。

また、同様に知っておきたいのは、「家族間の贈与の場合、少し贈与税が安くなる」ということです。

じつは、通常の贈与税、つまり配偶者やきょうだいの間の贈与、赤の他人への贈与、親戚や未成年の子供に対する贈与は一般税率と呼ばれる税率、つまり上で紹介した税率で税金をします。

しかし、両親や祖父母から成人している子供や孫への贈与(直系尊属から直系卑属への贈与)の場合、特例税率という少し安い税率が適用されるのです。

具体的には、600万円以下の贈与をする場合、一般税率では贈与税は30%かかります。

一方で特別税率だと、贈与税は20%です。

すべてにおいて親子間の贈与税が安くなるわけではありませんが、贈与する金額が増えると節税効果は大きくなります。

「贈与税」そのものは決してお得じゃない!

と、ここまでは贈与税が安くなっていること、親や祖父母から子供や孫への贈与はよりお得になることをお伝えしてきましたが、重要なのはそこではないのです。

あなたが知りたいのは、「相続と贈与、どちらを使ったほうがお得なのか?」ですよね。

ここで相続税を考えてみましょう。

控除などを考えずに単純に比較した場合、相続税では3000万円以下の相続に関して15%の相続税がかかります。

贈与税のなかで最もお得な、特別贈与だと4500万円以上の贈与では55%の贈与税がかかるのですが、相続税だと5000万円以下の相続に関しては税率が20%になっているのです。

なんとなくお気づきになられていると思いますが、じつは、「シンプルに税率を比較した場合、相続税のほうが圧倒的に税金が安い」のです。

もちろん、相続では現金や生命保険、不動産などすべて含めての税額計算になりますし、うまい具合に相続してほしい相手に相続させられるか、トラブルは起きないかといった問題もありますが、ただ現金や不動産を贈与するだけでは、節税効果はほとんどありません。

贈与税で最もお得に財産を譲る方法は、暦年贈与です。

年間110万円までなら贈与税がかからないので、一年間に一人あたり110万円の贈与をする。もしくは、111万円など少し控除をはみ出した贈与をして、10%の贈与税を納税する。

二重課税は認められていないので、贈与税を支払った贈与分に対しては、相続税がかかりません。

このようなテクニックを使うことで、初めて贈与が節税にからんでくるわけです。

生前贈与に使える相続テクニックを使いこなそう

単純に多額の現金や不動産を生前贈与するだけでは、節税にはなりません。

贈与税は相続税を払わなくて良いように贈与してしまえ! という人が出ないように高額な税率が設定されているものだからです。

しかし、生前贈与といってもやり方はたくさんあります。長年連れ添った夫婦の間でのみ使える贈与。子供の結婚や子育て費用として財産をわけてあげられる贈与など、じつはさまざまな特例や贈与があるのです。

財産を移転する方法は一つではありません。

遺産相続を基本として、お得に贈与できる特例やテクニックを使いこなして、バンバン節税していきましょう。