独身かつ子供がいない場合の遺産のゆくえ

あなたの遺産の行き先、気になりませんか?

「独身で、子供もいない」

という方、どれくらいいますか?

日本では晩婚化が進んでいて、30代、40代になっても独身、または結婚はしたけれどうまくはいかなかった、という人がけっこういます。

まだ20代くらいなら、自分の死後財産がどうなるかなんて考えることもないと思いますが、人間いつ亡くなるかなんて誰にもわからないものですよね。

万が一のことを考えて、「独身かつ子供がいない場合、あなたの財産はどこに行くのか」を知っておきましょう。

どうしてこのようなケースを紹介するのかというと、相続トラブルになる可能性が高いからなんです。

  • あなたの死後、あなたが大嫌いな人に遺産が渡ってしまうとしたら?
  • 大切な人がいるのに、その人には1円も残せないとしたら?
  • 自分が死んでしまったら、遺産は○○してほしい、という希望が無視されるとしたら?

対策しなくては! という気持ちになってくるのではないでしょうか。

遺言を残さない場合、不本意な結果になることも・・・

相続において、揺るぎない権利を持っているのは「配偶者」です。あなたが亡くなったとき、あなたの奥さんや旦那さんは、問答無用で一定の相続を保証されています。

次に相続の権利が守られているのは、子供です。配偶者と子供がいる場合、ほかの誰にもあなたの遺産は渡りません。

では、配偶者も子供もいない場合は? 親→兄弟の順に相続の権利が継承されていくのです。

独身で子供もいない場合、あなたの親、祖父母(直系尊属といいます)があなたの財産を相続します。両親や祖父母もいない場合、今度はあなたの兄弟が相続の権利を有します。

血縁としての関係性さえ保たれていれば、どんなに仲が悪くても、勘当されていても、いがみあっていても、あなたの財産は親兄弟のものになってしまうということです。

ちなみに、兄弟がすでに亡くなっていても、甥っ子や姪っ子がいる場合、そちらに相続権が受け継がれます。代襲相続という制度です。

もしかすると、あなたが一度も会ったことのない甥姪に遺産が行くかもしれません。

配偶者、子供、親、兄弟もいない場合、最終的にあなたの財産は国庫に行きます。

遺産を相続させたい人がいるなら、遺言を!

自分の遺産はどういうふうに扱われたって構わない。

そう思うのであれば、トラブルになっても問題はありませんよね。ですが、そうはいかない場合もあるはずです。

例えば、兄弟が何人かいて、そのなかの一人にだけ相続させたいものがあるとしたらどうでしょう?

あなたが集めている楽器のコレクションを、同じく楽器を趣味にしている妹に渡してあげたい。いつも乗り回していた車やバイクは、同じくクルマ好きの兄に相続させてやりたい。

そう思っていても、なんの対策もしていなければあなたの遺志は反映されません。

「遺言がないんだから、楽器も車も売り払って、現金でわけてしまおうか」なんてことになる可能性は高いのです。

例えばあなたが年を取り、独身で子供もおらず、しかし親戚などに一生懸命介護してもらっていたらどうでしょうか? 法定相続人でない人に遺産相続をさせるためには、「遺言」が必要です。

あなたの感謝の証として、遺産を受け取ってほしい。そう思っても、遺言がなければ相手には1円も相続させられないのです。

遺言のない遺産は、ガソリンのようなものです。

うまく取り扱わないと、一気に爆発してあちこちに大きな被害を出してしまいます。

遺言という容器でしっかりとガソリンを小分けすることで、初めてしかるべき運用が可能になります。

「遺言なんてまだ早い」とは思わずに、大切な人、大切なものがあるときはしっかり遺言を残しましょう。