相続人の数が多いと、相続トラブルになりやすい!
「相続人の人数が増えれば増えるほど、相続問題が起きやすい」
といわれて、あなたはすぐに「そうだよなあ」と頷くことができるでしょうか?
ピンと来ない、という方は、久々に友人と集まって飲みにでも行こう! と計画を立てている場面を考えてみてください。
友人3人で集まるのであれば、「どこに行く? いつが暇?」とさくさく予定を合わせて予定を決めることができますよね。
でも、友人30人で集まるとしたら、「この日は誰々が来れない」「フレンチより和食のほうが良い」「予算もうちょっとなんとかならない?」といった具合に、いつまで経っても飲み会の予定は決めらないでしょう。
話し合いに参加する人数が増えると、どんなに立派な人たちが集まっても短時間で話し合いはまとまりません。ときの権力者が集まったウィーン会議だって、「会議は踊る、されど進まず」なんていわれたくらいです。
相続人の場合は、話し合いに「誰がなにを」「誰がいくら」相続するのかという問題が絡んできます。
- 故人に子供や配偶者がおらず、兄弟姉妹がたくさんいる
- 親戚が多いので代襲相続が発生しやすい
- 故人が何度も再婚している
といった場合、どうしても相続人同士の話し合いでは意見をすり合わせるのが難しく、結果的に争いに発展してしまうことが多いのです。
ケース:相続人がたくさんいて話し合いにならない
鈴木さんは、地元ではそこそこに知られた地主の家系です。
本家を継いでいる叔父さんは子供もおらず、昔から鈴木さんをかわいがってくれていました。
叔父さんは鈴木さんの父も含めた男女4人兄弟で、皆もう亡くなってしまっていて、その子どもたちとたまに付き合いがある程度。自分が一番かわいがられていることもあり、本家にしきたりなども聞いてきているし、ゆくゆくは自分が一族の財産を相続するんだ、と考えていました。
しかし、叔父さんは遺言を残す間もなく亡くなってしまいました。遺産相続はどうなるのだろう? と相続人の数を調べてみると、なんと、自分を含めて6人もいることがわかったのです。
親戚づきあいがあるとはいえ、いとこたちとは年に一度本家の集まりで顔を合わせるくらいの関係です。
皆あちこちに散らばって生活しているので、連絡を取るのも一苦労。これからどうやって全員で遺産についていの話し合いをするか、鈴木さんは途方にくれてしまいました。
相続人が増える=調整に時間がかかる
今回のケースでは、
- 相続人が6人と多い
- 親戚同士が普段から連絡を取り合っているわけではない
- 想定される遺産の総額が大きい(叔父さんが地主だったので)
- 遺言がない
とさまざまな面から遺産分割協議が難しくなっています。
相続人が多いと、誰が相続の資格者なのかを調べるだけでも大変です。そのあと各人に連絡を取って、「遺産があるので分割の話し合いをしましょう」と持ちかけなければなりません。
「ほとんど会わない親戚なんだから、知らせなくても良いんじゃ?」
なんて思うかもしれませんが、相続人がいるのに相手に知らせず勝手に遺産分割をしてしまった場合、あとから話し合いをやり直すことになるので、おすすめできないのです。
それぞれ仕事や生活がありますから、良い日取りを見つけて全員で集まり、1時間話し合ってささっと結論を出す、というわけにもいきません。
遺産の額が大きければ、分割しても一人あたりの相続額も大きくなるので、「放棄する」という人が出ない可能性が高いからです。
相続人がたくさんいて困ってしまう、というトラブルを解決する方法は、生前に遺言を残すか、早い段階で税理士や弁護士といった専門家を入れて調整してもらうかのどちらかになります。
相続人の数が多い場合、きちんと遺言を残すようにしよう
今回のケースのように、兄弟姉妹やその代襲相続人としての甥姪が相続人である場合、遺留分の主張はできません。
もし叔父さんが事前に「本家を継ぐのは鈴木さんなので、全ての財産はこの子のみに譲る」と遺言を残していれば、話し合いをする必要はありませんでした。
遺留分が主張できるケースになると遺言だけでは対応できないこともありますが、それでも遺言を残しておいたほうがトラブルになりづらいのは確かです。
遺言がない場合は、専門家を入れて協議しよう
遺言がなく、相続人がたくさんいる場合は、鈴木さんが最初からがんばるのはちょっと無理があります。
相続人が多いときに当事者同士で話し合いをしても、スムーズな解決は望めません。
弁護士や税理士を入れて妥当な分割割合を出してもらったり、相続人に連絡を取ってもらったりすることで、余計なトラブル(ほかの相続人の奥さん、旦那さんが口出しをしてくるなど)を避けられます。
人数が多いときにトラブルになると、結論が出るまでかなりの時間がかかります。
少しでもスムーズに遺産分割ができるよう、対策を取るようにしましょう。
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