土地の評価額はどうやって求めるのか
相続税対策を考えるにあたって、慎重に対策していきたいのが「土地」の扱いです。
いわゆる不動産というと建物も含むのですが、実は土地よりも建物のほうが節税はやりやすく、土地は節税対策が大変なので、あえて土地だけをピックアップします。
今回は、まず相続税の計算において重要な「土地の評価額はどうやって決まっているのか」を説明します。その後で、どんなケースなら評価額が下がって節税になるのかを紹介します。
例として、1億円で土地を購入した、と考えましょう。土地の評価額にはいくつもの考え方がありますが、相続税においては、
- 実際に売買したときの金額(実勢価格)
- 道路との関係などで決まる金額(路線価)
- 実際に相続税の計算で使われる土地の金額(固定資産税評価額)
を抑えておくと良いです。
相続税では、土地の価値を路線価で計算します。細かいことは省いて考えると、実勢価格の70%くらいです。
求めた路線価に、その土地の状況(道路と接してなくて使いづらいなど)を考えて計算を加えると、固定資産税評価額が割り出せます。固定資産税評価額は、大体実勢価格の60%くらいです。
これを1億円の土地に当てはめてみると、
実勢価格:1億円
路線価:7000万円
固定資産税評価額:6000万円
つまり、1億円の土地は条件によって6000万円から7000万円だと評価され、相続税が課税されるわけです。
もちろん現金で1億円持っているよりも節税になるのですが、6000万円、7000万円の相続税を考えると憂鬱にもなりますよね。
そこで、相続税の対策として土地の評価額をいかに下げるかが重要となってくるのです。
用途によって評価額は下がる
土地の評価額は、「あなたがどんな目的で持っている土地なのか」で変わります。
具体的には、誰かに貸すための土地である場合、評価額は自分のための土地として持っているときより2割も割引されるのです。これは、建物に関しても同じです。
どうして用途で評価額が下がるのかというと、「あなたの持ち物であっても、誰かが借りて利用している以上勝手に売ったりできないから」です。
賃貸マンションを考えるとわかりやすいです。
あなたが持っている土地には賃貸マンションがあって、マンションの部屋を借りて生活している人がいます。
あなたが土地も建物も売り払いたいと思っても、まずはマンションを借りている人にどいてもらう必要がありますよね。
土地建物はあなたのものでも、それぞれの部屋のなかにある家電や衣服などは当然部屋を借りている人のものですし、家賃を払って部屋を貸すという契約を結んでいるので、好き勝手はできません。
いつ売ろうと誰も困らない自分ための土地よりも自由度が下がるので、その分評価額は割引になるというわけです。
道路との関係で評価額は下がる
土地の評価が下がる要因に、道路との関係、つまり使い勝手があります。
例えば、道路と一切接していない土地があったとします。道路は公共のものなので皆が自由に使えますが、道路とあなたの持っている土地の間にあるスペース、これは他の誰かが持っている私有地なので、自由に通ることはできません。
もしこの土地に家を建てても、道路側からあなたの土地に入るためには、私有地の持ち主に許可を取って特別に通らせてもらうか、改めて道路に接するように土地を買い足すしかありません。これは不便ですよね。不便なので、評価額は下がるのです。
同じように、道路と接しているスペースが狭い場合も評価額は下がります。
持っている土地が道路から奥まったところにあって、人一人がなんとか通れるような幅でしか道路と接していない場合、車では入れず使い勝手が悪いからです。
広大地なら評価額は下がる
広大地という土地だと認定された場合、大幅に土地の評価額が下がって相続税がお得になります。
ただ、広大地として認められるためにはものすごく難しい基準をクリアしなければなりません。
試しに、適当な住宅街をイメージしてみてください。
碁盤の目のように整然と道路が走っていて、一戸建てがお行儀良く立ち並んでいる住宅街。
そこから、道路と一戸建てをなくしてみるとどうなりますか? ひたすらに広い土地が広がっているはずですよね。これが広大地です。
広大地はもちろん、土地の評価額が本当に下がるのかどうかは、不動産鑑定士や税理士に相談をして実際に鑑定や計算をしてみなければわからないのが現状です。
土地を買ったり売ったり、建物を建てたりと時間のかかる対策が多いので、早めに節税を意識しておきましょう。
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