相続税対策|先祖代々の土地こそ相続しやすい形で残そう

あなたの土地、相続税対策しなくて本当に大丈夫ですか?

いわゆる地主、資産家の方など、土地をたくさん持っている人は2015年以降の相続税対策をこれまでより真剣に考えなければなりません。

「節税~!? 先祖代々、我が家はこの土地を受け継いできたんだ! だから手放すなんてもってのほか!」

という方もいますが、

「でも、その土地のせいで子供さんやお孫さんに数千万年の相続税がかかるとしたら?」

こういわれたら、考え込まざるを得ないのではないでしょうか。

相続税の改正によって基礎控除の金額が4割も下がっており、これまでだったら相続税を考えずに子や孫、家族に相続できた大切な土地に大量の相続税がかかってしまいます。

相続税は現金一括払いが基本なので、たくさんの土地を残していると、その分遺族に大きな負担をかけてしまいます。

土地や不動産などの固定資産は、現金や保険金などの金融資産と並ぶ相続財産の大きな柱の一つです。

わりかし簡単に節税ができる金融資産と違って、土地は売却や組み替え、名義変更など面倒なことも多いので、早くから相続税対策を意識しておきましょう。

今回は、土地の相続税対策の基本的な部分を説明します。

知っておきたい「土地の相続税対策の基本」

土地です。不動産ではなく、今回のテーマは土地なのです。どうして土地にはたくさんの相続税がかかってしまうかというと、「土地は広く活用ができる」からです。

一つの土地があったとして、そこに賃貸マンションが建っている場合と、空き地のままである場合、どちらのほうがより多くの相続税がかかるのでしょうか?

答えは、空き地のほうなのです。空き地は、そこに賃貸マンションを建てても良く、自分たちで住むための一軒家を建てても良いですよね。駐車場にするのも、耕して家庭菜園にするのも自由です。

しかし実際にマンションが建っていれば、例えば駐車場にしたい場合まずマンションを取り壊すところから始めなければなりません。用途や自由度が限定されてしまうので、実は空き地のほうが土地としての評価は高いのです。

ですから、土地の相続税対策の基本は、「いかにその土地の評価を下げるか」もしくは「別の資産に組み替えてしまうか」他に「控除や特例を活用するか」が重要になります。

土地の評価額を下げよう!

土地を相続してほしい、しかし土地を手放すのはできるだけ避けたい。そんなときは評価額を下げる方法を考えるのがおすすめです。

方法は様々にあるのですが、効果の大きなものでいうと、

  • 不動産を建ててみる
  • 土地を分ける
  • 資産の組み替えを検討する

などが有効です。では、それぞれを軽く説明してみます。

建物を建ててしまう

なにもない土地や駐車場は、どんな用途にも使えるので、評価額が高く相続税もたくさんかかります。ならば、用途を限定しれやれば良いのです。

例えば賃貸マンションを建てた場合、土地の評価額は空き地のときより2割引きになります。建てた不動産も購入額ではなく固定資産税評価になるので安く評価でき、しかも賃貸用物件ならさらに評価額が割り引かれます。

自分たちが住む住宅を建てて「小規模宅地等の特例」を使ったり「贈与税の配偶者控除の特例」を適用したりすることも可能です。

土地を分ける

土地の評価額は、用途が広い土地、便利な土地、使いやすい土地であればあるほど上がります。ということは、相続したときに使いづらい土地にしてしまえば、土地全体の評価額は下がるわけです。

一つの土地を切り分けて何人かの相続人で相続することを、「分筆」といいます。

例えば、一辺だけが道路に面している土地を手前と奥で分筆した場合、奥側の土地は使い勝手が悪くなりますよね。

使い勝手が下がった分評価額が下がれば、結果的に節税になるというやり方です。

ただ、どう分筆すれば評価額が低くなるのかは、専門家の判断をあおぐ必要があります。

資産の組み替えを検討する

1億円の土地を売って、6000万円の土地と4000万円の建物を購入する。この場合、総額としては資産が1億円であることに変わりはありませんよね。

このように、不動産を売ったり買ったりして資産の形を変えることを「資産の組み替え」といいます。

大体は賃貸事業を行うのに条件が悪い土地を、もっと活用しやすい土地に組み替えて節税対策する、といった方法を取ります。

ただ、分筆と同様に専門家と良く相談したうえで決定しないと、思ったより節税にならない、なんてこともあるので要注意です。

節税対策にこだわりすぎるのもトラブルの種

土地や建物などの不動産は、現金と違って均等に分割するのが難しい資産です。

そのため、相続税対策を完璧にすることだけを考えて遺産相続が不公平になってしまい、相続人同士が争うことに、なんて事態もままあります。

負担の少ない遺産分割を目指すのも正しい行いですが、いかに相続人同士が争わずに遺産分割を終えられるかを考えて節税するのも、財産を残す人の大切な役割なのです。