「一つの大きな土地」には高い相続税がかかる!
「土地に対する相続税が高いって聞いたんだけど、本当?」
本当です。
相続税は、とりわけ土地に対しては高い税金がかかってしまうのです。
不動産は「手に入れたときの価格」ではなく、「相続したときの資産価値」に対して課税されます。良くあるパターンでいうと、5000万円かけて購入した建物は、購入額の6割くらい、3000万円の資産だと判断されるわけです。
現金で5000万円持っているときと比べてまるまる2000万円分は相続税で得をしていることになります。
ただ、土地の場合このときの評価額が高くなってしまうことが多く、例えば現金5000万円で購入した土地の評価額が、4200万円だと評価されてしまった! もっと安くなると思って現金を残していなかったので、結局相続税を支払うために土地を手放すハメに・・・なんてことがあるのです。
それだけに、土地に対する相続税対策はとても大切です。
土地に対する相続税は、土地が「広ければ広いほど」「立地条件が良ければ良いほど」「使い勝手が良ければ良いほど」上がります。
今回は、何人かの相続人で一つの土地を分けて相続することで、相続税の総額を抑える「分筆」という対策を紹介します。
分筆をするうえで大切なこと
土地の分筆とは、ずばり「いちごのホールケーキを必要な人数に応じて切り分ける」ことだと思ってください。
このとき重要なのが、どんなふうにケーキを切り分けるのか、です。切り方によって、節税になったりならなかったりするからです。
お店で見ると良くわかりますが、6等分にカットされて売られているいちごのショートケーキ6個分の値段を合わせると、大体いちごのホールケーキと同じ値段になりますよね。
これは、分割されたショートケーキ一つ一つがどれも同じ大きさで、どのケーキにも同じようにいちごが乗っているからです。
公平に分けてあればショートケーキに分割してもケーキとしての価値は変わらず、ホールケーキ分の個数を揃えたときと値段は変わらない、というわけです。
ここでもし、ケーキ屋さんがカットの仕方を間違えて、「いちごが乗っていないケーキ」や「きれいに切れずに断面が潰れているケーキ」「他と比べて明らかに小さなケーキ」を用意してしまったら?
それぞれのケーキの値段は、きれいにカットしたショートケーキより安くなるのです。
切り方が悪くて失敗したから、見た目が良くないから、つまり、「ケーキとしての価値が下がってしまった」からです。
土地の分筆も全く同じ考えで、単に土地を何人かの相続人で分けたとしても、「どの土地も同じ価値になるように、きれいに分筆した」場合評価額が下がらず、節税にはならないので注意が必要です。
分筆をして節税するための3条件
分筆で節税するためには、3つの条件を満たさなければなりません。
その条件とは、
- 分筆した後、土地の評価額が下がること
- 分筆した土地の所有者がそれぞれ別の相続人であること
- 分筆の手続きは相続税の申告をする前に行うこと
です。
土地の切り分け方によって、評価が下がらない場合があるというのは説明した通りです。ですから、評価が下がるように計算して分筆するというのは前提となります。
不動産の名義変更は法律に期限がないのでいつ行っても構いません。ただ、相続税の前までに分筆の手続きをしていないと、「分筆される前の相続税がたくさんかかる土地」として税の計算がされてしまうので、分筆するなら早めに動く必要があります。
そして、一番重要なのは分筆した土地の持ち主が別人であることです。
例えば、大きな土地を分筆して、個別の土地の評価額を下げました。分筆した土地の全てを同じ人が相続した場合、結局分筆してもしなくても同じ広さの土地が手に入るわけですよね。
分筆には、相続のためにしたんだという名目と実態が必要なのです。
評価額を下げる分筆のやり方
出典:登記測量の城北事務所(https://jhk-office.jp/archives/959)
効果的な分筆のやり方は、「道路から離れる」「角地でなくなる」です。
道路に接している土地は、車も直接乗り込めて出入りが自由で使い勝手が良いですよね。ですが、手前に他の土地が挟まっているなど、道路から離れていると奥まっている分だけ使い勝手が悪くなります。なので評価額が下がるわけです。
角地も同じで、「角地の部分」と「角地でない部分」に分筆すると、角地でないほうの評価額が下がります。
節税効果のある分筆の方法はそんなに多くありません。
ただ、土地の分筆に慣れている人なんてなかなかいないはずなので、相続人同士で決めてしまわずに、不動産鑑定士や税理士と相談して効果を確かめてから実行しましょう。
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