一番手軽で簡単な相続税対策は?生前贈与のポイント

「生前贈与」で節税しよう

「相続税をできるだけ安くしたい!」相続税がかかっちゃうんですよ、なんていわれたら、誰だって節税したいと思いますよね。

2015年、平成27年度からの税制大改正では、これまで相続税と関係のなかった多くの人にも納税の義務が発生することになります。そこで重要となってくるのが、節税です。

節税の方法はいくつもありますが、今回は一番手軽に、一番簡単にできる相続税対策である「生前贈与」をテーマにお話をしていきます。

生前贈与とは、故人が生きている間に自分の意思で現金なり資産なりを相続人に分け与えることです。生前贈与をすると具体的にどうお得になるのか説明しましょう。

年間110万円の暦年贈与でお得に節税

その人の財産を亡くなってから分け与えるのか、生きている間に分け与えるのかの違いを、きちんとした用語で相続、贈与と呼びます。

相続にしろ贈与にしろ、お金を動かしたとき税金がかかる、というのがポイントです。税金は二重に徴収されることはないので、贈与税の適用を受けるお金の移動(生前贈与)をしておくと、相続税はかかりません。

贈与に関しては、「年間この金額までなら贈与税がかかりませんよ」という基礎控除が110万円分用意されているので、110万円以下の贈与であれば相続税も贈与税も一切かからないのです。

一年間で110万円だとすこし少ないような気がするかもしれません。ですが、年間110万円の贈与を10年も続ければ、1000万円以上のお金を非課税で家族に渡せるのです。とても効果の高い節税だといえます。

暦年贈与はここに注意!

毎年毎年すこしずつ贈与をすることを、暦年贈与といいます。

暦年贈与に関しては一つ注意が必要で、「最初から○○万円渡すつもりで、それを分割しただけじゃないか!」と判断されてしまうとものすごく高額な税金が発生してしまうのです。

つもりもなにも実際節税のためにコツコツ生前贈与を行うわけですが、形式が大切だという話です。

贈与をする場合、お金を受け取る人が贈与されたことを知っていて、受け取ったお金をコントロールできる状態になければなりません。

よくある暦年贈与の失敗例を紹介してみましょう。

お父さんが成人している息子さんに贈与をしよう! と思い立ち、息子さん名義の銀行口座を作ってそこに毎年110万円ずつプールしておきました。

若いとき無条件にお金をもらうと金銭感覚が乱れてしまうかもしれないから、と息子さんにはそんな口座があることを伝えていません。

さて、このお金は本当に息子さんに贈与され、息子さんのものになっているといえるのでしょうか?

この場合、贈与を受けた息子さんはお金を自由に引き出したり使ったりすることはできませんよね。

息子さん名義の口座にあるお金でもお父さんがコントロールしているので、息子さんが贈与の事実を知ったときに一括で贈与されたと考えられ、贈与税がかかってしまいます。

暦年贈与においては、毎年お互いの署名捺印をした贈与の契約書を作って取り交わしておくなど、贈与をします、わかりました、受け取りました、ありがとう、という形式をきちんとしておくことが大切なのです。

タイミングが良ければ最大3000万円!?住宅取得等資金の贈与

税制大改正において大きな話題となっている贈与が2つあります。その一つが「住宅取得等資金の贈与」です。

なんとなく字面からわかると思いますが、両親や祖父母が子供や孫が家を建てるためのお金を出すときは、贈与税が非課税になりますよ、という特例です。

平成26年度末までという期間限定の特例でしたが、平成31年まで延長されることになりました。

この特例を使うための条件は、ちょっと複雑です。簡単にいうと「普通の住宅を購入するときは1000万円まで」「耐震性が良かったりエコな住宅を購入するときは1500万円まで」非課税になりますよというシステムです。

複雑と言ったのは、毎年この○○万円まで非課税になる、という数字が変わってしまうからです。

詳しくは下の図を見てもらうとして、例えば消費税が10%になった場合、普通の住宅で最大2500万円、色々気を使っている住宅なら3000万円まで非課税になります。


出典:沖縄の税理士・公認会計士なら 税理士法人佐藤総合会計事務所(http://www.feliz-tax.jp/article/15200331.html

住宅取得のための贈与の特例は、「実際に贈与をした時点での非課税額」が適用されるので、贈与をする前に良く確認するようにしましょう。

最大1000万円!結婚・子育て資金の一括贈与

大きな話題のもう一つが、今回の税制大改正で新しく作られた贈与の特例。

「結婚・子育て資金の一括贈与」です。

このシステムができる前からも教育資金の一括贈与という非課税枠があったのですが、微妙に性質が異なります。

20歳から50歳までの子供(難しくいうと受贈者)の結婚や子育てのために必要なお金として、両親祖父母は1000万円まで非課税で贈与できますよというものです。

贈与といっても実際に現金を手渡しするのではありません。

銀行などにお金を預けておいて、結婚式や子育てにお金を使ったとき、受贈者が領収書を持っていけば使った金額を引き出せるというシステムです。

生前贈与は節税の効果が高いこともあり、大きな注目を集めています。

それだけに細かく税制が変わる可能性が高いので、贈与を行うときは必ず税理士などの専門家に相談をして節税の最新事情をキャッチし、どのくらい節税になるか確認することをおすすめします。